サンダーボルト 「評価 D」
世界各地で強力な雷が次々と落下するという、奇妙な現象が起こった。科学者達はすぐに事態は収拾するだろうと楽観視していたが、アメリカの大学都市で働いている教授だけは雷の被害がやがて世界中に及ぶと予測し、対策を講じるべく科学者らの説得にあたった。しかしこの意見に同意する者は少なく、結局大した対策もできないまま、雷の被害は拡大していくのだった。
あの「ライトニング」から久々の雷映画だが、無数の雷がこれでもかと降り注いでいた「ライトニング」に比べると、本作はいまいちパッとしない出来だった。
と言うのも本作、雷による破壊シーンが殆ど無く、パニック映画としての迫力に欠けるのである。一応世界の主要都市に雷が落ちる場面を置いて地球規模で災害が起こっているのだということを表現しており、低予算ながらもスケール感を出そうとしている製作者の努力の跡を垣間見ることができる。しかしその場面というのが、大写しになったロンドンのビッグベンとモスクワの赤の広場に雷が落ちるだけで、都市部の破壊は愚か、逃げ惑う民衆の姿すらも一切描かれない。
また話のほうも昼メロ同然と言える家族ドラマを軸としているのだが、誰かが雷によって大きなピンチに陥るというような描写も無く、更に「こんな事もあろうかと」という誰かの台詞が聞こえてきそうなほどの御都合主義に次ぐ御都合主義な展開で、物凄く味気無い印象だ。これならば地域密着型でありながらも雷の災害を余すところ無く描いた「ライトニング」の方が遥かに面白く、本作は雷映画という希少なジャンルの行く末を案じずにはいられない映画だった。
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