サタンバグ 「評価 B」
砂漠のど真ん中に建てられている、アメリカの極秘研究施設。ここでは世界を滅ぼしうる脅威のウイルス「サタンバグ」の研究が行われていた。ところがある日、何者かが施設に侵入し、サタンバグを奪って何処へと姿を消してしまった。このままではアメリカならず、世界中が滅亡の危機に瀕してしまう。そこで政府は見えない犯人を追って捜査を始めるのだが…。
瞬く間に世界を滅ぼしうるものとして、今尚パニック映画の題材として使われ続けているウイルス。だが単にウイルスパニックと言えどバリエーションが様々で、「バイオ・クライシス」のように治療法を見出すために地道な努力をするものから「グローバル・エフェクト」のようにアクションが主体のもの、果てには「エボラシンドローム」のように解決法を二の次としてとにかく変態さを前面に押し出したものまである。そもそもウイルスとは地震や動物大量発生といった他のパニック映画のジャンルと違って応用性に富むので、これだけのバリエーションがあるのはある意味当然と言えるのかもしれない。
さて64年製作の本作もまた、ウイルスパニック映画の一つであるだけでなく、前半ではウイルスを奪った犯人の正体を追求する謎解き、後半では姿を現した犯人グループとのロサンゼルスの陸と空を舞台にしたアクションという要素が付加されていた。本作ではこれらの付加要素がどちらもなかなか楽しめるように出来ており、特に後半は登場人物同士を互いの所在が掴めない中で別々の事件の解決へ動かすことにより、時間的余裕の無い切迫した状況を醸し出すことに成功しているのだ。かと言ってウイルスパニックの方も等閑にはなっておらず、道端の人間達が悉く倒れている風景を上空から撮影するという、簡便ながらも危機感を伝えるには十分な描写がなされている。
しかし本作、有り得ない軌道を描いて落下するフラスコを始めとして、細かいところで粗が見られるのもまた事実である。全般として面白い映画なだけに、このような点が気になってしまうのが残念とも言えよう。
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