シェイクダウン          「評価 B」
本作は、一応のジャンルとしては地震映画だ。ところがこれがただの地震映画ではなく、「主体はアクション、地震は二の次」というまるで「激震地L.A.」のような地震映画なのである。だがあの「激震地L.A.」でもほんの申し訳程度とはいえ一般市民の救出シーンはちゃんと描かれていたのに対し、本作はそんなものを一切盛りこまずにとにかくアクション一筋、地震で逃げ惑う一般市民や地震のパニックに乗じて暴れ出す連中などの描写は、派手な地震シーンがあるのにも関わらず皆無となっている。そのため本作では揺れる建物を舞台とした主人公と敵との戦いに「激震地L.A.」以上に安心して見入ることができるのだ。
「エボラなんか目じゃない」と主人公が称するほどの凄まじい破壊力をもつウイルス「ポプリン」が、政府の研究所からそこの科学者によって盗み出された。何者かからの通報によって銀行でポプリンの取引が行われるという事を知った主人公のマックは、早速仲間の捜査官と共にその銀行があるビルへと向かった。ところがマック達の入った銀行で突然強盗が現れて銀行を占拠したかと思えば、そこへ取引相手の聖ジョイなる男が率いる「神々の救済軍」というカルト集団が乱入。更にスワット隊まで登場し、強盗が入ってから5分も経たないうちに銀行は銃撃戦の場となってしまった。しかもそこへ地震が発生。街は崩れて銀行のあるビルは半壊状態になり、強盗やスワット達はあっと言う間に瓦礫に潰されたり銃に撃たれたりして全滅してしまった。このドサクサに紛れて科学者からウイルスを取り戻したマックだったが、彼からウイルスを奪い取るために聖ジョイ達も余震の続く建物の中で行動を開始したのである・・・。
ウイルス、カルト、銀行強盗と非常に盛りだくさんの本作だが、ビルの地下から屋上近くまでの広範囲にわたって繰り広げられるアクションシーンがシチュエーションに凝っており、楽しく観る事が出来る。しかも一発の地震で強盗やスワットを壊滅させてしまうという潔い展開で、見事に「ゴッタ煮による消化不良」を防いでくれているのだ。肝心の地震のシーンが「大地震」を始めとした数多くの地震映画からのまんま拝借だったり、ビル爆破のシーンでは半壊状態のはずだったビルが一瞬元の姿に戻っていたりする点が大きなマイナス要素となっているが、その代わりとして地震シーンにおいて一般市民が瓦礫で潰されてたり飛んできた鉄のカケラに首を撥ねられたりする妙に生々しい描写や、いかにも最後まで生き残りそうな匂いを漂わせている人間達を躊躇いもなく全員殺してしまうというようなハードな展開がそこいらの「何人かは助かって当たり前」という甘っちょろい地震映画とは明らかな差を見せつけており、なかなかの力作である(もちろん地震映画ではなく、アクション映画としてだが)。

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