ザ・キャット                  「評価 D」
本作のビデオパッケージにはモンティ・パイソンのアニメの如く巨大化した猫がビル街を歩き回るシーンがあるが、もちろん本編中にそんなシーンは存在しない。それどころか本作の猫はライオン並までしか巨大化しないという事をあらかじめ断っておこう。
あるマンションに於いて、3人の老人による降霊式が行われた。老人達は死人と話をするために下の階の住人が飼っている猫を媒介として儀式を行ったのだが、何を間違えたのか儀式は失敗し、その代わりに猫の身体には凶悪な悪魔の魂が乗り移ってしまったのである。悪魔の化身となった猫は町に出て次々と人間を惨殺していく。そんな猫を飼い主は次第に不審に思い始めたのだが、その頃から飼い主は悪魔と化した猫と記憶を共有するようになってしまい、飼い主はたびたび脳裏に映し出される見知らぬ人間の死体に苦悩することになる。平穏な暮らしに戻るには、猫を何とかしなくてはならない。そう確信した飼い主は、猫に乗り移った悪魔について調べ始めたのだが・・。
遺伝子操作全盛のこの時期に悪魔が乗り移って怪物化する生き物というのは逆に斬新だったが、そのかわり本作はなんとも映像的に寂しい、退屈するような出来になっていた。特に前半部分では悪魔がほとんど本性を見せず、やたらと飼い主の恋愛話が続くために完全に猫の恐怖が薄らいでしまっている。そして前半部分で猫の恐怖がほぼ無くなってしまったために、いくら後半で衝撃的なシーンを連発してもいま一つ作品にのめり込む事が出来ないのだ。
しかも悪魔が乗り移った猫がほとんど「悪魔の赤ちゃん」状態で滅多に全体像を現さず、なんとも緊張感に欠ける。要するに本作、オカルトと生物パニックの両立に失敗した映画なのである。

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