ザ・スクリュー 「評価 C」
本作の主人公は不幸な男である。別に男の境遇が悪かったり、男のために誰かが命を落としたりというわけでは無いんだが、それでも本作前半部分の主人公はやる事なす事が裏目に出てしまうという、何とも見ていて気の毒になってくる奴なのだ。
砂浜で遊んでいた女の子が誘拐された。そこで沿岸警備隊の隊長である主人公はせっかく貰った船上パーティーのチケットを部下に渡すと、目撃者の少年と一緒に事件の捜査に乗り出した。そして調べを進めていくうちに、犯人と誘拐された娘はパーティーが行われる船に来ることを嗅ぎ付けた主人公は、夜になって港で待ち伏せをすることに。港に早速現れた怪しい男達(全員が大柄で物凄い顔をしている)を追う主人公。だがパーティーのチケットを部下にあげちゃったために船に入ることができず、主人公はすぐさま係員につまみ出されてしまったのである。捜査をするんだから船上パーティーには行けないだろう、と思ったのが完全に裏目に出たのだ。だがここで諦めるようではアクション映画の主人公は務まらない(当然か)。なんと彼はアクション映画ばりに(と言ってもアクション映画なんだが)出航する船の錨にしがみつき、その鎖をよじ登って船の中に侵入したのだ(よく気づかれなかったものだ)。こうして船内にやって来た主人公は、早速怪しい男たちを探そうとしたものの、なんといきなり船員に「怪しい者だ」と取り押さえられ、彼は船室にぶち込まれてしまったのである。そうしている間にも怪しい男達は船を乗っ取り、壮大な計画を始めようとしている。果たして牢の中の主人公に彼らの計画を阻止する事ができるのであろうか!?
こんな風に、みるみるうちに泥沼にはまっていく主人公。この他にも沿岸警備隊に電話連絡しようとしたら警備隊はゲームに夢中で電話にまるで気づかなかったり、緊急回線を使って警察に通報したら完全に悪戯だと思われて相手にしてくれなかったりと、ほとんど「これはコメディなのか!?」と思わずにはいられないようなノリで話が進んでいく。だが前半部分はせっかくそんなノリで押してくれたというのに、後半になるといきなり普通のアクション映画に変わってしまった。あれだけ何かありそうだと思わせておいた敵の目的も実にチンケなものだったし、笑える前半部分と比べると格段に見劣りしてしまう。個人的には、どうせならば最後までコメディ路線で進めて欲しかったと思うのだが・・・。
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