ザ・ブルー                   「評価 B」
アメリカの学生の定番行事と言ったら、なんていったって卒業記念パーティーだろう。いつ頃からこの習慣が始まったのかは分からないが、取りあえず「キャリー」の劇中にこのパーティーのシーンが存在していたので、20年以上昔からある事はまず間違いない。つまりこの行事はそれなりの伝統があるわけだから最近の不良達は「こんなのに出るのはガリ勉くらいのものさ」と考え、友人を集めて自分たちだけのパーティーを開くようになった。そして本作の主人公達も独自に卒業記念パーティーを開いたのだが、なんとその会場は完成したばかりの会員制プール。警備員が帰った真夜中にそこへ忍び込み、明け方まで騒いでしまおうという算段だった。ところがそんな彼らの中に恐ろしい殺人鬼が紛れ込んでいたために、たちまちプールは惨劇の場と化してしまったのだ・・。
という内容の本作は、思いっきり80年代の「馬鹿学生皆殺し映画」のスタイルを踏襲したものになっている。「ラストサマー」と「スクリーム」の二大作品の影響で一時は再び盛り上がったこのジャンルだが、どちらのシリーズも完結した今となっては、本作のような作品が細々と出され続けているだけの状態に戻りつつある。まあそれはともかくとして、本作は非常にありきたりな内容ながらも話のテンポが実に良く、観ていて退屈しないところが評価できる。工夫のある殺しがあまりにも少なかったり、いつの間にか死んでいるという奴がいたりと観終わった後でよく考えれば不満も結構あるんだが、それも本作特有の凄まじいまでの展開の速さのおかげで観ている間は全く気にならなかったので、取りあえず楽しく観ることができた。話の穴に観客が気づく前に手早く次のショックシーンを映す。結局のところ本作を楽しく観れるか観れないかは、この「製作者の罠」にはまるかはまれないかで決まるのであろう。

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