ジェラティノス                「評価 C」
またまた登場の生物パニック映画。今度人類の敵となる奴は液体にもなれる触手付き不定形生物という、これまた奇抜な代物。しかもあらゆる物を酸化させてしまうという何とも恐ろしい奴で、こいつに触れたら人間はたちまち赤くなって錆びたようになってしまう(そんなはずないのに、劇中ではそのように描写されているのが変だ)。さあ、人類はこの恐ろしい敵にどうやって立ち向かうのか!?
近未来、火星移住プランを着々と進行させていた人類は火星の環境を地球と同じようなものに変えるため、酸化鉄と二酸化炭素から酸素を生み出す人工生物「ジェラティノス」を火星の大地に送りこむ「ミノタウロス計画」を発動させた。ところが一匹目のジェラティノスを積んだ宇宙船が原因不明の事故を起こし、宇宙船との通信は途絶えてしまった。しかもそんな時、NASAに保管されていた第二のジェラティノスが何者かの手によって盗み出されたのである!慌てて政府の面々が盗み出した連中を追いかけたのだが、その数日後に連中の乗っていた飛行機が原因不明の墜落を起こす。早速墜落現場に向かった政府が残骸を調査すると、そこにあったのは彼らの死体と空になっていたジェラティノスのケースであった。そしてその後、近辺の町では町民の変死事件が多発する。そこでジェラティノスの捜索のために政府直属のマイク捜査官とジェラティノス製作チームが極秘裏に町に集まったのだが、凶暴な怪物と化したジェラティノスの魔手は彼らにも襲いかかったのである・・。
いわゆる「町に怪物が現れて大騒ぎ」パターンの本作だが、政府の人間を直接的に出したり盗んだ連中の背後に謎の人物を出したりなど、話のスケールを広げる努力がところどころに見られる。どこかギララを連想させるジェラティノスのデザインも斬新と言えば斬新だし、製作者のやる気は窺えるのだ。
だが、それでも本作は出来があまり良くない。せっかく話を面白く広げてくれそうなキャラだった悪徳弁護士を早々と殺してしまったのを始めとして、ジェラティノスに殺される人間の数があまりにも少なかったり、肝心のラストに意外性が薄かったりと、どうもスケールを広げたのが仇となってしまったようなのである。せっかく怪物はいいのだから、もう少し怪物を生かした映画を作ってもらいたかったものだ。

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