スパイダーマン 「評価 A」
遂に、遂にあのアメコミ界でバットマンと人気を二分するスパイダーマンをあのサム・ライミが映画化してくれた。当然サム・ライミは若い頃漫画のスパイダーマンに熱くなっていたわけで、言うなれば本作は本物のファンが原作に忠実に作りあげた一大映像作品なのである。これは観ないわけにはいかない!というわけで私はわざわざ普段いかないような映画館にまで足を運んで本作を観にいったのだが、やはり本場は凄かった。さすがに日本の実写版ではどうしようも無かった「摩天楼を動き回るスパイダーマン」も見事に映像化されており、非常に再現度の高いものとなっていた。
冴えない学生だったピーターは、ある日研究所を見学していた時に遺伝子操作された一匹の蜘蛛に噛まれてしまう。その傷がなかなか消えないことを気にするピーターだったが、その翌朝、彼の身体はなんと運動神経抜群の肉体に変わっていた。しかも手から糸は飛び出るわ、指先に生えた毛によって壁もよじ登れるわ、彼は昨日の傷が原因でまるで蜘蛛のように変貌していたのである!
だがその頃、ピーターの友人の父親であるノーマンは、人間の力を引き出すという研究の成功を焦るがあまり、自らが実験台となって開発した薬を使用した。実験は取りあえず成功したのだが、なんとノーマンの心に「グリーン・ゴブリン」という別の人格が宿り、力が増大した彼は暴走してその場にいた同僚を惨殺してしまったのだ!
それから数日後、ピーターはガールフレンドのMJに車を買ってあげることを思い付き、その資金調達として「スパイダーマン」というリングネームでプロレスに参加し、見事に対戦相手のノコギリ男をボコボコにした。ところがそこで強盗事件が発生。ピーターは自分に関係のない事だと考えて逃げる強盗を放っておいたのだが、なんとその直後、逃げた強盗は迎えにきていたピーターの叔父を射殺してしまったのである!叔父の死体を目の前にし、愕然とするピーター。そしてその瞬間、彼は力を持つ者としての正義に目覚めたのであった!
叔父の死から数年後、ピーターと友人のハリーは高校を卒業し、ニューヨークにやって来た。ニューヨークはあらゆる悪が蠢く町。そこでピーターは衣装も身長して、スパイダーマンになってニューヨークの悪党達を次々と懲らしめる傍ら、その時の写真を撮って新聞社に売り付けてしっかり金も儲けていたのである。ちょうどその頃、ハリーの父親、すなわちノーマンの勤める会社は驚くほどの急成長を遂げていたのだが、それは裏でグリーン・ゴブリンとなったノーマンがライバル会社を潰し回っていたからであった。そしてグリーン・ゴブリンはスパイダーマンの超人的な力に目を付け、自分と手を組んで全てを手にいれないかと誘いこんだ。ところがスパイダーマンは彼の申し出を断り、あくまでも力を正義のために使うと宣言する。この時から、スパイダーマンとグリーン・ゴブリンとの壮絶な死闘は幕を開けたのであった・・・。
と、ありとあらゆる燃える要素が含まれてる本作。叔父の死をきっかけに力の使い方を決心したピーターと、自分を守ることがキッカケで悪の道に踏み込んだノーマンの対比。そのノーマンのことを最後まで信じ、最後の最後でスパイダーマンを敵と見たハリー。そしてハリーに真実を打ち明けず、敢えて汚名を背負うスパイダーマン。これらの要素をこれだけ熱く観せてくれるサム・ライミはさすがの一言である。警察にも認められて非常にオープンな存在のバットマンと違い、公的には敵か味方はハッキリせず影が付きまとうヒーローであるスパイダーマンの魅力をここまで描く事が出来たのも、やはり「キャプテン・スーパーマーケット」であれだけ弾けたヒーロー像を作ったサム・ライミだからであろう。
あまりにも話が王道すぎて多少の工夫も欲しかったものの、それでもこの映像化は成功したと断言できる。「ラブ・オブ・ザ・ゲーム」などで最近のサム・ライミに失望した人でも一回は観る価値のある映画である。
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