セシル・B ザ・シネマ・ウォーズ 「評価 B」
アメリカ東部の街にホィットロックという大物女優がやって来た。彼女は自分の出演している映画「ある幸福」のプレミア上映の際のゲストとして呼ばれたのだが、その上映会の最中で彼女の人生を変えるような事件が起こってしまう。なんと謎のゲリラ集団が会場を襲撃し、彼女はその連中によってリムジンでさらわれてしまったのだ。だが、動揺を隠せないでいるホィットロックにゲリラのリーダーらしき男はこう言った。
「私の名はセシル・B・ディメンテッド。映画監督だ」
なんと彼らはハリウッドの大作映画主義に反旗を翻し、ひたすら抗議の映画を撮り続ける映画スタッフ達だったのだ。そしてセシルは次回作の主演女優としてホィットロックを抜擢したというわけである。ギャラも出ない上、こんな酷い目にあわされてしまったので、ホィットロックは当然出演を断ろうとした。ところが、彼らと共にゲリラ撮影を続けていくにつれて、次第に彼らの思想を理解できるようになるのであった・・。
というわけで本作は、「ハリウッドの大作なんかクソ喰らえ」をテーマとしたある種の問題作だ。撮影が完全にシステム化され、売れたらろくすっぽに考えもせずに続編を出すハリウッド。それに対抗し、彼らは街の各地でゲリラ的活動を行っているのである。本作のような問題提起映画は普通、観る個人個人の思想などによって楽しく観れるかつまらなく観れるかが大きく分かれるものだが、少なくとも金儲けしか頭に無い映画人も含めて楽しむことにしている私としては、彼らの意見とは多少食い違いがあるものの、「ファミリーなんていうのは検閲の卑語だ」とか「ハッピーエンドになるくらいだったら俺は死を選ぶ!」といった部分では結構同意できるところも多く、映画界を痛く突いた映画として楽しく観ることができた。
また、この映画のところどころには「障害児のアレックス君」などのように、「現実ってこんなもんだろ!」というような悪ノリ的ジョークも散りばめられており、向こうの国の映画界の実情を知っていれば本作はブラックコメディとしても観ることができたりする(その中でもマニアックなギャグがほとんどを占めてはいるが)。
本作はテーマが直球過ぎるので、そういった点からしても好みが両極端に分かれそうだが、きっと本作を観ることは「自らの映画に対する価値観」を改めて問い直すいい機会になるだろう。映画が好きと自称する人ならば、ぜひ一度観ることをオススメする。
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