シージャック 「評価 C」
「シージャック」と言ってもアキレ・ラウロ号のことでは無い。本作と「アキレ・ラウロ号」の二作は、いわゆる「近い時期にリリースされた、タイトルと内容がそっくりな映画」なのだ。しかし、同じシージャック映画とはいえ、向こうは[実際の事件を基にしている+当時の外交官らは全部本人が主演]という気合いの入りようなのに対し、本作は[完全にフィクション+全く腑抜けた内容]だから大きく見劣ってしまうため非常に困る。
主人公は軍備会社に勤めるサラリーマン。しかし身勝手な性格ゆえに普段の訓練にすら失敗を連続し、会社からは謹慎処分を言い渡されてしまった。そこで、この機会に家族サービスをしようと家族でクルージングツアーに行こうとしたのだが、仕事に夢中で家庭を顧みない彼に対して彼の妻はすっかり愛想を尽かしてしまい、遅れて来た彼を放っておいてクルーザーへと乗っていってしまったのだ。しかし、食材運び屋に扮装して満室となったクルーザーへと乗りこむ主人公。調理場のシェフ「マリオ」とすっかり意気投合した彼は、久々に娘や妻と再会するのだが、なんと妻からは離婚の申し出を言い渡されてしまう。ところがそんな折、突如現れた謎のテロリスト軍団によってクルーザーはシージャックに遭遇してしまったのだ!危うくテロリストから逃げ延びた主人公とマリオ。果たして彼らは、妻や娘を救うことができるのか!?
「家族を守るために戦う主人公」というのは、最近のアクション映画では実によく見かけるので、話自体には新味が無い。しかもテロリスト達はまるでコントしているかのように次々と死んでいくし、お約束通りに主人公夫婦はテロリストとの戦いでよりを戻すし、本作はとにかく平凡な内容なのである。しかし、この平凡な映画を面白くしているのが、主人公の仲間として活躍するエセイタリア人シェフ「マリオ」だ。まさに戦う一般人を象徴したかのような彼は、単なるアクション映画に厚みを持たせており、その点で本作は評価できるのである。
それにしても本作の最大の謎といったら、なぜかこんな映画のディナーショウに登場したエルトン・ジョンである。恐らく本物だと思うがエンドクレジットにそのような名前は無いし、話の途中でカツラが取れたりと散々な目に遭うし…。果たして彼は本物なのかそっくりさんなのか、本当に謎の存在であった。
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