1500米決勝                  「評価 C」
今となってはすっかり定番となっている「スポーツ青春映画」だが、原点は1955年の本作のようなところにあるのではないだろうか。なんと言ったって本作は、今となっては定番となっているあらゆるスポーツものの要素が盛りこまれているのだ。
主人公の黒川は、城北中学の陸上部員。しかし彼の家は大変貧しく、陸上大会が近いというの練習が出来ず、実家が経営している靴屋の手伝いをしなければならなかった。しかしどうしても練習をしたかった黒川は、家計を助けることもできる新聞配達をして、走る特訓をするのであった。配達の合間に、ヒロイン達の協力で必死に練習する黒川。だが、予選で健闘むなしく、敢え無く敗退してしまった。大会に出れないということで、落ちこむ黒川。ところが、そんな黒川を心配した陸上部顧問が、相手中学校に頼みこんで、黒川も大会に出られるようにしてもらったのである。父親の許可を得て、陸上部の練習に参加する黒川は、大会に向けて最後の猛練習をする。
本作では、肝心の大会の結果が分からないままに終了する。映画の中で「勝ち負けよりも、どれほど全力を出せたのかが問題だ」と言っていたので、それによるものと思われるが、どうも後味が悪い。また本作は東映教育映画部が製作したからしょうがないかもしれないが、随分と教育映画じみている。例えば特別待遇で大会に出られるようになった主人公を妬むような典型的悪役キャラも登場せず、全編さわやかに展開するのだ。この辺りは汚れた人間には物足りなく感じられてしまうことだろう。
しかし、それでも本作は今観ても充分通用する内容になっている。下手な工夫を盛りこんだスポーツ映画よりは、よっぽど安心して観ることが出来るのだ。

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