サーズ・ウォー 没有硝煙的戦争         「評価 C」
東アジアで猛威を振るった脅威のウイルス、SARS。中国の或る病院でもこのウイルスに感染した患者が運び込まれてきたのだが、当時まだSARSについての情報が出回っておらず、次第に治療に携わっていた医師達までもが患者と同じ症状を発現していった。そこで政府は医師団を組織してSARSの研究に当たらせるのだが、致死率が異様に高いSARSによって、一人、また一人と患者や医師達が倒れて行った。
パッケージを見る限りではSARSを使ったウイルスパニックを想像させる本作だが、実際は医師や看護婦の証言に基づいて作られた半ドキュメンタリー映画である。しかも働く医師の姿が終始描かれていてSARSの発生原因や経過については軽く流されており(特に原因については、ハクビシンを食べる人が映るだけで具体的な説明は皆無)、まさしく実際にSARSに感染した人達へ捧げられたような映画なのだ。そのため本作では生きることの素晴らしさを称えた歌が3曲も流れるし、ラストには「SARS騒動を通じて患者に対する愛に目覚めた」と述べる医師まで出てくる。このあまりにも露骨な描写の数々は流石に少し引いてしまうが、おそらくこれを観て生きる希望を取り戻した人が向こうの国にいるのだろう。
部屋に閉じ込められた後で追い出される記者とか余計なシーンで水増ししているような印象があったので個人的な評価はCだが、この映画が本当に価値のあるものかどうかは実際にSARSに苦しんでいる人にしか分からないに違いない。

GO TO TOP!!