タキアン                「評価 C」
森の精霊は怒っていた。タイの山奥でダム建設のために大規模な工事が行われることとなり、木々が伐採されていたのである。そこで精霊は現場の作業員に幻を見せたりして工事を妨害するものの、少しのトラブルではダム建設が中止になるはずもなかった。しかも精霊が宿っていた大木までが切り倒され、紐で縛られて封印されてしまう。それから後、ダムは無事完成し、喜ぶ人間達。だがその喜びも長くは続かなかった。ダムの底へと沈められた大木が突然動き出し、ダムの破壊を始めたのである…。
発展を続けるタイに於いても、自然破壊は当然のことながら深刻な問題となっている。本作はダム建設現場を襲う精霊の姿を描くことで「自然を大切にしようね」というメッセージを込めた、非常にエコロジー思想に溢れた映画なのだが、やはりそこはタイ映画。精霊が操る木に人間が押し潰される様子がはっきり映されたりと(血の飛び散り方がまた生々しい)、お国柄得意とするスプラッター描写が本作でも炸裂しており、テーマの健全さからは想像もつかないような映像世界を作りあげていた。更に若者達による四角関係話があったり、現地の娘が作業員らによってレイプされたりと、人間ドラマもまた昼メロ並にドロドロしており、作品全体に殺伐とした雰囲気を醸し出す。タイという国の凄さを再認識させてくれる映画である。
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