チャド 「評価 D」
多くのホームレスが暮らすラファイエット通りでは、ここ暫く人間の失踪事件が頻発していた。そこでボッシュ警部は、慈善事業でホームレスの世話をしている男、シェフォードと協力して真相の解明に乗り出したところ、通りの地下を流れる水道から異常な数値の放射能が検出される。これは事件に関係があるに違いないと睨んだボッシュは、原子力委員会にこの事を問い詰めてみた。すると核廃棄物の影響で誕生した人食いヒューマノイド、チャドの存在が明らかになったのである…。
下水道に住んでいたホームレス達が、大量の放射能を浴びて怪物化する本作。チャドは網目のように広がっている水道を自在に動き回り、マンホールの蓋を開けては路上の人を引きずり込むという神出鬼没な奴で、暗闇に光る眼や蛍光色の血液などデザインもなかなかの物だが、映画の方はいまいち感心できない出来だった。映画の序盤、ボッシュ警部の捜査と、同じく事件を追っているカメラマンのジョージの姿を交互に映すことによって、観客は事件の真相に近づいていく…という形態を取っていたのだが、中盤でチャドが出てきてからはそれが裏目に出てしまっているのだ。別々の手段で捜査している二人の構図は真相判明後もそのままなので、場面ごとのテンションが噛み合っておらず、本来なら盛り上がるだろう場面でも緊迫感が沸いてこない。挙句にクライマックスは留守番をしていたジョージの妻が突如現れたチャドに単身立ち向かうという、主人公二人を完全に蚊帳の外に置いたもので、こうなってくるともう原子力委員会の陰謀や主人公の活躍なんかどうでも良く思えてしまう。結果として、構図が足を引っ張ったように感じられる映画である。
GO TO TOP!!