ダイナソー・ファイター カンフーVS巨大恐竜 「評価 D」
遠い未来、地球はサイボーグ戦士らの支配下に置かれていた。彼らは過去の世界に渡る技術まで持っており、太古の地球から肉食恐竜を連れてきては、奴隷である人間を従えるのに利用していたのだ。しかしある時、奴隷を収容していた宇宙要塞から一人の奴隷が脱走を図った。彼は小さな宇宙艇に乗りこみ、奴隷の間で「楽園」と呼ばれる場所、21世紀の地球へと逃げ込んだ。またそれを追って、同じく21世紀の地球に向かうサイボーグと恐竜達。こうして現代を舞台にした、奴隷とサイボーグ達との壮大な追いかけっこが始まった…。
これは偶然なのか、はたまた必然なのか。「類は友を呼ぶ」とはよく言うが、あの「吸血家族」からさして間を置かずに、これまた理不尽で理解に苦しむ内容の映画の登場である。一応基本の筋は分かり易いので「吸血家族」よりはマシな出来だが、それでも本作は観客を翻弄するかのような場面の目白押し。
例えば映画の序盤、主人公はサイボーグとの戦いで傷つき、21世紀のアメリカで行き倒れになってしまった。ヒロインとその友人達は気絶している彼を見つけ、彼女の家で治療することにした。おかげで主人公は意識を取り戻したのだが、それから暫くと経たないうちに追っ手の恐竜が出現、ヒロインの家に乱入した。ヒロインの息子や友人達は襲いかかる恐竜に対し必死に応戦する。主人公もそこに駆けつけ、いよいよ加勢するのか…と思ったがしかし、なんと次のカットでは住宅地を歩く主人公とヒロインが映し出されるのである。えっ、恐竜は!? 他の連中は!? と幾ら思ったところで、場面の間に何があったのか説明されることはなく、ヒロインの息子や友人達についても、映画の後半でいきなり登場するまで無事だったのかどうかすら分からないのである。またその直後の場面では二人が何の前触れも無しに列車に乗っており、その更に後の場面では二人が理由も分からないまま警察に捕まっている。こんな風に観客を突き放すかのような場面のすっ飛ばしが続出したかと思えば、ヒロインの独白と全く同じ内容の回想シーンが別個で出て来たりと、映画の本筋に関わりの無い場面が意味も無く繰り返される。おまけに各場面ごとには、意味があるのか無いのか分からない聖書の引用が相次ぎ、観客の理解を妨げるのだ。
そしてこの下手演出が極みに達するのが、主人公達とサイボーグらとの戦闘シーンである。全長2mほどの恐竜が、主人公に飛び付いた途端に30cm程に縮んでしまうわ(闘気で主人公が大きく見えるのか!?)、サイボーグは飛び道具を持っているくせに主人公と戦う時は素手で戦うわ(実は良い奴なのかも)、サイボーグのアジトを破壊しようとする主人公達は時限爆弾を仕掛けたくせにわざわざアジト内部に突入して恐竜と闘うわ、観ていて頭が痛くなってくる映像がこれでもかと連発されるのである。何とも悲惨な出来の映画だった。
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