ダリル・ハンナのジャイアント・ウーマン 「評価 C」
平凡な女性ナンシーは、平気で浮気を繰り返す旦那と厳格な資産家である父とが原因で、ストレスを溜める日々を送っていた。ところがある晩、彼女はハイウェイ上空に空飛ぶ円盤を目撃する。大慌てで市街地に向かい、保安官にこの事を知らせるナンシー。しかし保安官が確認に赴くと、そこには何も見当たらなかったのである。その日以来、ナンシーは「ストレスで頭がおかしくなった」と周りの人間から思われるようになってしまった。おまけに旦那までもが彼女を施設に入れるべきだと言い出す始末。元々彼女の父が所有する財産目当てで結婚した旦那にとって、ナンシーは口煩い存在でしか無かったのである。しかし当のナンシーはあくまで自分は嘘をついていないと言い張っており、旦那を連れて目撃現場に行ってみた。すると空飛ぶ円盤は再び出現し、幸いにも彼女が正常だったということは証明された…と思ったら、円盤はナンシーを攫って遥か彼方へと飛び去ってしまった。それから後、ナンシーはビルの屋上で倒れていたところを発見される。家に帰るナンシーだったが、そこでは父と旦那が空飛ぶ円盤のことについて激しい言い争いをしていた。ただでさえ鬱憤が溜まっていたというのに、ここ数日周りから白い目で見られて更にストレスが膨らんでいたナンシー。彼らの争いを見ていよいよブチ切れ、鋭い叫び声をあげた。とその瞬間、ナンシーの体は宇宙人の力によって50フィートまで巨大化してしまったのである!
1958年のSF映画「妖怪巨大女」をリメイクした本作。大まかな粗筋は元の映画と殆ど同じと言ってもいいが、巨大ナンシーがすぐに暴れ出した「妖怪巨大女」と違い、この映画のナンシーは巨大化したと同時にストレスが発散されたのか、しばらくは家の倉庫で大人しくしている。そして特注の服を作ってもらったりプールに入浴したりと、巨人生活をエンジョイするナンシーの姿が描写されるのだ。おかげで70分足らずで終了する「妖怪巨大女」よりも随分と上映時間が長くなっているのだが、これにより本作のウリである巨大女の姿をよりじっくりと拝むことができることを考えれば、観客のニーズに応えた変更と言えるだろう。また暴走した巨大ナンシーがドライブインシアターを襲うカットでは、しっかり「妖怪巨大女」が上映されていたりと、元の映画に対するリスペクトも忘れてはいない。
しかし本作、「妖怪巨大女」もそうだったが、巨大化するまでの過程が非常に冗長である。それまでの間は登場人物の掘り下げを行っているのかと言えばそんな事はなく、ややこしい人間関係の説明に終始している。なので巨大女を目当てに観る人(と言っても本作を観る人は全員そうか)は、相当焦らされる思いをすることだろう。そんな本作や「妖怪巨大女」と比べると、パロディ版「アタック・オブ・ザ・ジャイアントウーマン」の方が話もスピーディーな上にサービスシーンも満載で、観ていて飽きさせない作りになっている。巨大女が観たい人にはそちらをお勧めする。
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