中国超人インフラマン           「評価 B」
長い間地底に潜伏していた民族、氷河魔族が地上への侵略を開始した! 彼らの進んだ科学力によって都市は次々と破壊され、よもや地上は彼らの手に渡ってしまうかに思われた。ところが中国政府は科学研究所を立ち上げ、氷河魔族に対抗し得る兵器の開発に当たらせたのである。それを知った氷河魔族は新兵器の開発を阻止せんと、植物怪人を送りこんだ。科学研究所に潜入した怪人は巨大な植物に変化し、その強力な蔦で研究所の破壊を始めた。だがその時、博士が開発した中国超人インフラマンが目覚め、その超能力によって怪人をあっと言う間に片付けてしまったのである。この時からインフラマンと氷河魔族との、長い戦いが幕を開けたのだ…。
「ゴジラ」が「ヨンガリ」や「プルガサリ」を誕生させたように、日本の特撮ヒーロー番組も中国韓国では人気を博し、ジャパニーズテイストに溢れたヒーロー映画が数多く製作された。これらの中には日本のヒーローのデザインをまんま借用している作品も多数あるが、本作のように部分部分で換骨奪胎することにより全く新しいヒーローを作ってしまった作品だって存在するのである。
まず、その誕生シーンからしても斬新そのものだ。インフラマンに改造された青年は手術が完了するや否や、全身に満ち溢れるパワーに驚嘆し、いきなり研究室を破壊し始める! 先述の通り、この時科学研究所は植物怪人に襲われている真っ最中なのだが、下手すると怪人よりも先にインフラマンの手によって研究所が壊滅させられそうな勢いだ。こんな誕生シーン、まさに前代未聞と言っても過言ではあるまい。
それでも何とかインフラマンは正気を取り戻し、植物怪人を軽々と撃破。すると二番手として、ビームを放つ怪人と蜘蛛怪人の二体が研究所に襲いかかってきた。そこで最初にビーム怪人の方を手早くやっつけるインフラマン。だがその時、蜘蛛怪人はいきなり巨大化を始めたのである。これでは体格に差がありすぎる! 危うし、インフラマン!
と思ったら急にインフラマンもポーズをとって巨大化し、蜘蛛怪人と同サイズになってしまった。なんと中国超人インフラマンにはそんな凄い能力まで備わっていたのだ。だが勿論それまで巨大化に関しては一切説明無し。この辺りのファジーさ加減は「ゴジラ対メガロ」のジェットジャガーを思い出させるが、何はともあれ初めから巨大化せず、相手が巨大化してから自分も巨大化するとは日本のヒーロー物にも通じる律儀な奴である。
しかしインフラマン、蜘蛛怪人が形勢不利になって元の大きさに戻っても、自分は決して元の大きさにはならなかった! 逃げ回る蜘蛛怪人を巨大な足で踏みつけ、楽に勝利を収めてしまうのだった。初めは律儀に振る舞っておいて、その後は情け無用のファイトを見せる。なんてダーティな奴なんだ、インフラマン!
……と、本作はこんな戦いが最後まで続くわけだが、これが突っ込み所満載のくせに正統派ヒーロー物としても十分に面白い。最終決戦で戦闘員が無数と言ってもいいほどに大挙して登場し、30分のヒーロー物なら5分で済みそうな戦いをダラダラと続けていたのはどうかと思ったが、科学研究所のメンバーによる中国拳法も物凄く冴え渡っているので(みんな科学者なのに…)ヒーロー物が好きならば必見の映画である。

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