ディープ・フリーズ 「評価 D」
南極の石油採掘施設で違法な採掘が行われているとの噂を聞きつけ、上層部はその実態調査のために院生を派遣した。だが院生らが到着した矢先、施設の科学者が何者かによって惨殺されるという凄惨な事件が発生する。その後も事件は続発し、最早調査どころでは無くなった生き残りの面々は施設からの脱出を図る。しかしそんな彼らを引きとめるが如く、施設内で極秘に研究されていた人食い三葉虫が彼らの前に立ちはだかったのである。
死にゆく人間の頭の中では、それまでの人生が走馬灯のように駆け巡るという。果たしてこのような概念が西洋にも存在するのかどうかは分からないが、本作の演出を行った方はどうやらこれを映像で再現したかったらしい。
と言うのも本作、誰かが三葉虫に襲われる瞬間になると、その人物が今まで登場したカットが無数にフラッシュバックされるのである。だが主要な登場人物が死ぬ時ならまだしも、特に観客の印象に残っていないようなその他大勢のキャラが死ぬ時にまで律儀にこの手法を使っていたために、折角の試みも単なるギャグにしかなっていなかった。どんな手法も使い所を心得ておくのが必要だ、ということをまざまざと感じさせてくれた映画である。
さて、このフラッシュバック以外の点について言及させてもらうと、本作は有り触れた密室モンスターパニックを地で行く作品である。しかし三葉虫があまりにも弱すぎるのでモンスターとしての魅力に欠け、何の捻りもないクライマックスと相俟ってそのインパクトを限りなく薄いものにしていた。三葉虫の出てくるカットで感心できたのが女の体内に入った三葉虫が女の口を強引にこじ開けて出てくる所ぐらいのもので、他はさほど印象に残らないような地味な映画だった。
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