ダイナソーズ(別題:ダイナソークライシス2) 「評価 B」
砂漠地帯に存在する巨大鉱山。そこでは大勢の人間が住みこみで働いていたのだが、ある日ぱったりと外部との連絡を絶ってしまった。そこで鉱山で何が起こったのかを調査するため、政府は数名の修理屋達を砂漠地帯に派遣した。到着して見ると鉱山に人の姿は見られず、唯一発見された少年も酷く怯えた様子で口を利こうとしない。果たしてここで何が起こったのか、と首をひねる一行。だがやがて、答えは自分から姿を現した。突如彼らの前に一匹の恐竜が姿を現し、問答無用に襲いかかってきたのだ。ここは表向きこそ普通の鉱山だが、実は恐竜を現代に蘇らせるという極秘計画が行われていた場だったのである。鉱山の人間は少年を除いて皆、暴れ出した恐竜の群れに襲われていた。そこで修理屋達はヘリに乗って鉱山から逃げ出そうと考えるのだが、恐竜が乗り込んでいたヘリはたちまち爆発炎上してしまう。逃げ道の無くなった砂漠地帯で、恐竜と人類との壮絶なる戦いが開始された…。
「ジュラシック・シティ」もそうだったが、本作はあのジュラシック・パークの便乗映画「恐竜カルノザウルス」の特撮シーンを使い回して作られた、非常に低予算な映画である。よってヘリの爆発や巨大恐竜の出現といった「カルノザウルス」と全く同じ見せ場が本作でも拝むことができ、続けて見ると強烈なデジャ・ヴューに襲われることだろう。
(しかも本作や「カルノザウルス」は最近、「ダイナソークライシス」という名の同一シリーズとしてDVDリリースされた。続き物と思った人がこれらの作品をまとめて見たら泣くぞ…)
一本の映画を撮ったら、同じシーンを使い回して何本もの映画を撮る。この手法は即ち別の映画のために撮られたカットを場面の間に挿入することであり、どうしても繋がりが不自然なものになってしまわざるを得ない。例えば本作の終盤、爆発寸前の鉱山から生き残った人間達が脱出するというシーンでは、ヘリも近いというのに一人の少年が突然引き返してフォークリフトに乗り込み、すぐそこの恐竜と力比べを始めてしまう。そして何分かの戦いの後、無事恐竜を倒して満足げにヘリに乗る少年。しかし鉱山はいずれ爆発して恐竜達もみんな死んでしまうのだから、なんで少年がそんな行動に出たのかは正直理解不能だ。言うまでも無いがこれは「カルノザウルス」のシーンを使い回したから起きたことであり、こんな風に流用には様々な弊害が生じてしまうのである。
ところが本作、まだ「ジュラシック・シティ」と比べると新しく作られた特撮シーンも多く見られ、観ていてそれほど損した気分にはならない。おまけに話も平凡な密室バトルに徹しているので「カルノザウルス」のような馬鹿科学者による突っ込み所が満載な研究も無ければ、「ジュラシック・シティ」のような延々と続くエロシーンも無いのだ。そのため上の二作に比べると随分と良質な出来になっており、ロジャー・コーマンお約束の過剰なグロは健在だが安心して観れる作品であった。
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