ディープシャーク          「評価 C」
10年前に父親を鮫に殺されたジミーは、そのことがトラウマとなって海中に潜ることが出来なくなっていた。しかし潜らなければよいので、現在ジミーはビーチの警備員として働いており、襲撃してくる鮫と戦う日々を過ごしていた。そんなある日のこと、ジミーは謎の老人から財宝の眠る海域に案内して欲しいと依頼された。その海域はジミーが以前ガイドとして行った場所であり、また父親が鮫に殺された場所でもあった。当然断わるジミーだったが、実はこの老人はギャング団の一員だった…。
基本的に「ジョーズ」のフォロワーである割には、あまりにも音楽を蔑ろにしている作品の多いサメ映画界。だがそんな中で本作は、マーチ音楽に合わせて船が沈没して行く冒頭のシーンがまるでクラシック映画のような匂いを漂わせており、数世紀前の出来事を表す手法として音楽が効果的に作用しているのだ。他のシーンでは音楽に拘ったような部分が見られなかったものの、少なくともこのシーンに関しては評価のできる作品だった。
また鮫の出てくる場面では、同一カットの使い回しが目立つのが問題ではあるが、模型を最低限しか使わず、できる限り実物を映したカットを挿入することによって水準レベルの迫力を生み出すことに成功している。鮫に襲われる人間も過剰なまでのスプラッター精神によって観客を楽しませてくれており、特にジミーが妻を鮫に殺される夢を見る場面では、壁にぶちまけられる血の量がやり過ぎもいいところで、爆笑必至の出来映えである。
とここまでは良かったのだが、本作は話の方が木で竹を繋いだようなものだった。鮫退治に熱意を燃やす男の話なのかと思えば、途中からギャング団が登場して話が別の方向に行ってしまうため、結局鮫退治が中途半端なままでラストを迎えてしまうのだ。「ジョーズ」のフォロワーとなれる素質が十分にあっただけに、惜しい一作である。

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