ディノクロコ 「評価 B」
田舎町に建てられている、大企業の研究所。そこでは遺伝子操作によって太古に絶滅した巨大ワニを現代に蘇らせようという試みがなされていた。ところがふとした事故によりワニが研究所を脱走。町外れの湖を根城として、町の人間を襲い始めた。
金が稼げる映画を作るためのシステムを独自に編み出し、ギャルの裸とバイオレンスが満載の映画を今尚作り続ける男、ロジャー・コーマン。本作は彼の最新作であり、またビデオパッケージが非常に安っぽかったので、てっきりまた「恐竜カルノサウルス」あたりのシーンを使い回した低予算バリバリの映画かと思っていた。
ところが実際に観た途端、私のそんな先入観は微塵と吹き飛んでしまった。なんと本作、ワニ映画にありがちな設定と分かりやすい展開を兼ね備えていながら、細かい描写に拘ることによって実に見事なB級映画へと仕上がっていたのだ。
ディノクロコ(本作の巨大ワニ)が桟橋の下から顔を出したと思ったら、次のカットでは壊れた桟橋と人間の千切れた足だけが映っているという、下手に俳優に騒がせて危機感を煽るよりも余程恐怖を感じさせる演出。普段死なないような役回りの人間ばかりが次々と死んでいき、逆にこの手の映画だと真っ先に殺されるような人間が一番最後に殺されるという、意外性と爽快感を含めた話運び。クライマックスで繰り広げられる、二本足で立ち上がってハリウッド版ゴジラの如く疾走するディノクロコとのワニ映画の限界に挑戦したと言える戦闘シーン(この場面はディノクロコを誘き寄せる餌となった犬を助けるために主人公達がピンチに陥るというものなので、愛犬家であるヒロインに感情移入できるかできないかで評価は二分するだろう)。またディノクロコのCGもこの手の映画としてはかなり上質な方だし、セクシーシーンも最小限に抑えてあるし、いつものロジャー・コーマンの作品に見られるようなチープな雰囲気は微塵と感じられない。
要するに本作は非常に正統派なワニ映画であり、ロジャー・コーマンも予算があればこれだけ面白い映画が作れるんじゃないか、と私の彼に対する見識を新たにしてくれた映画であった。
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