大怪獣出現 「評価 C」
フロリダの湖で次々と起こる失踪事件。軍が調査に乗り出したところ、それらの事件は全て、放射能で怪物化したカタツムリらしき生物によるものということが判明した…。
「世界に挑戦した怪物」という原題が、ある意味邦題以上に有名な本作。水棲怪物が出る映画自体は本作以前にも「海底二万哩」や「大アマゾンの半魚人」とか、既に結構な本数が撮られていたが、本作には遊泳に来た男女が怪物に襲われる場面を始めとして、「ジョーズ」によって後の主流となっていく「日常の場に忍び寄る水棲生物」というプロットを先取りしているような部分が散見された。B級テイストに溢れた作品であるが、この開拓精神は評価できるだろう。
さて本作の怪物は、一応カタツムリのような殻を持っているものの、巨大な目玉と左右に動く牙が特徴的で、少なくともカタツムリとは全く違う姿をしている。なのに劇中で怪物の説明をする場面では、科学者がカタツムリの記録映像を見せて「湖の怪物と非常に似ている」なんて解説をつけているのだ。こんな科学者に分析を任せて大丈夫なのだろうか、と心配になってしまうが、怪物を見てきた兵隊達もその解説に頷いている始末で、このアバウトさ加減が実に笑える。
また怪物の巣が爆破される場面では実際の爆破を行わず、並べてある模型に噴煙をオーバーラップさせただけの代物で、ちゃんと着ぐるみを燃やしていた「放射能X」と比べるとかなりケチ臭い。他にも怪物に人間が殺される場面では、怪物に捕まった途端、人間がしわくちゃの人形に入れ替わっていたりと、低予算故の変な演出が場面場面で失笑を買っているのだ。
しかし単に笑えるだけでなく本作は怪物に殺された人間の遺族の描写もしっかりしており、中盤でテンションが下がるのはいただけないが、普通の怪物映画としてもそれなりに楽しめる作品である。
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