ディープ・ショック        「評価 D」
北極海に突如巨大な海溝が出現した。同時に北極海の水温が物凄い勢いで上昇して行ったので、これを海溝の出現による海流の変化が原因だと考えた環境学会と政府は北極の基地へ、核爆弾を使って海溝を塞ぐように命じた。ところが核兵器を使おうとしたその時、基地に電気ウナギの大群が押し寄せてきたのだ…。
場面が変わるたびに黒バックで地名がテロップ表示される演出がとにかく煩わしい本作だが、何よりも劇中で「電気ウナギ」と称されている怪物の無茶苦茶な描写が凄まじい。全身蛇のような鱗に覆われていて、頭にはアンコウみたいなアンテナが生えていて(おまけに水中だと言うのにアンテナから直線状の雷を放っている!)、とてもじゃないが電気ウナギに見える代物ではないのだ。なのに劇中の登場人物達は怪物のことを「電気ウナギ」と呼んでおり、観ていると非常に妙な気分になれること請け合いである。そして本作ではこんな電気ウナギが集団で潜水艦や海中基地などを襲うのだが、大体がレーダーで電気ウナギや潜水艦の動きを見せているだけで、肝心のウナギの放電が見られる場面はごく僅かで盛り上がりに欠ける。
更に映画の後半、電気ウナギと主人公が意思を通わすようになってからは電気ウナギが海の温暖化を引き起こして地球を滅ぼすことなんかすっかり忘れ去られ、主人公が電気ウナギに対して友好的な雰囲気になってしまうのだ(冒頭で主人公は温暖化の原因が電気ウナギによるものと主張し、環境学会から追放されていただけに性質が悪い)。おかげで主人公に全く共感が沸いてこず、ラストも不満足のまま終わる。最終的に本作は、電気ウナギの無茶苦茶ぶりだけが楽しい映画だった。

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