トルネードストーム 「評価 D」
竜巻による被害が多発しているアメリカにおいて、その発生を事前に予測し、住民を手早く避難させられるシステムは非常に大きな役割を果たすことだろう。本作はそんなシステムの研究に没頭する学者が、多くの苦難に直面しながらも、最終的に自分の研究の素晴らしさを世に広めるまでを描く竜巻パニック映画である。
と、主人公の立場がまんま「ツイスター」と同じな本作だが、映画開始30分もしないで予測システムは完成してしまい、その後はシステムの正確さを世間に知らせるためにひたすら奔走するという構成になっている。
しかしこんな展開のおかげで、主人公の予想を信じずに記念祭を続行する街が出てきて、結局主人公の予想が当たっていて酷い目に遭う…なんて定番過ぎるネタが出るのは正直いただけない(おまけに本作では主人公達の活躍のおかげで街の人間は殆ど避難し、死者は0で済むのだが、そのために竜巻による街の破壊は一切描かれず、映画としての盛り上がりに欠けているのだ)。それに竜巻を追いかけるレポーターのやたらと長いトーク場面が中盤以降頻繁に出てくるのも、映画の流れを乱すばかりで評価できるものではない(しかもどの場面も全く同じ場所で撮影されている。もしかして手抜きか?)。
更にである。本作、命と言うべきの竜巻の描写でさえ物凄い違和感に溢れているのだ。だいぶ離れた所で発生したはずの竜巻が次のカットでは主人公達に襲いかかっている、という冒頭シーンに始まり、竜巻の軌道と削れている地面がずれているところがあったりと、出来の悪いCGと相俟って実に奇妙な雰囲気を醸し出している。話もいまいちならば竜巻の描写も感心できず、本作は数ある竜巻映画の中でもかなり出来の悪い方に入る映画であった。
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