ディープ・フィアー               「評価 C」
もう誕生してから80年は経つ怪獣モノというジャンルだが、そんなに歴史があっても基本的な話の内容に大差はない。だいたいの作品は突如人里に現れた怪獣が人間を襲い、最後は科学者か軍隊に倒されるという単純極まり無い内容である。だがそんな似た内容の映画が80年近く作られ続けており、未だに我々を飽きさせていないのは、そんな単純な中にも各々の作品に盛り込まれている要素が非常にバリエーションに富んでいるからであろう。怪獣がトカゲだったりウサギだったりタコザメだったり・・・主役の怪獣の種類だけでも無数とあり、そして出し尽くされた感のある今でさえ新しい種類の怪獣は誕生している。それが我々をいつまでも飽きさせることなく今も楽しませているのだ。
そして、本作に登場する怪獣は何のことは無い単なるトカゲである。だがこのトカゲ、遺伝子操作のおかげで生き物を食べる事によって幾らでも成長できるという代物なのだ。怪獣誕生のためのこじつけとして以前は「放射能」が主流だったが、最近の映画ではもっぱら遺伝子操作であり、放射能が原因なんて設定したら単なる懐古主義の映画扱いされる程に浸透している。こんな風に同じ怪獣映画というジャンルでも、その製作当時の時代背景や科学技術の進歩によって微妙な変化を見せているのも飽きない理由なのだろう。
・・・と、前口上が今までに無いほどに長くなってしまったが、本作の内容はというと、研究所を逃げ出したトカゲ怪獣が子供達の世話をしている元研究所員の家に襲いかかるというものである。基本的に昔の生物パニック映画を踏襲しているのだが、本作で凄いのは死ぬ人間の意外性だ。昔の映画を踏襲しているくせに昔だったら絶対に殺さないような人間が容赦なく死んだり、確実に死んだと思われる人間が全く無傷だったり・・過去の作品に最近の傾向を盛り込むことによって、本作は「新しい映画」となっている。別に怪獣映画に限ったことではないが、バリエーションというものはこのように増え続けていくのであろう。

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