ダーク・インフェルノ              「評価 C」
この映画には一人のお節介男が登場する。彼は親切のつもりで人に優しくしておきながら、相手が嫌そうな顔をすると途端にブチきれ、その人間にいつまでも付きまとうという困った性格なのだ。そんな困った彼が、ある日郵便局で一つの家族に目をつけた。娘と母親が口喧嘩をしている家族。彼はその家族に親切のつもりで近寄り、そして当然のように迷惑がられた。そこで彼はブチ切れ、「なんで人の親切を断るんだ!」と彼女らに喚いた挙句、郵便局員によってつまみ出されてしまった。
外に追い出され、雨に濡れながら彼はこう考えた。
「こうなったのもあの家族のせいだ!悔しいから殺してやる!」
迷惑極まりない話だが、男は自分の正義を貫くために家族を殺すことを決意し、さっそく家族が向かったショッピング・モールに行くことにした。向かう途中、信号無視をした馬鹿カップル(男の基準による)の車をボコボコに破壊したりしながら、男は着実にモールに向かう。そんな事も露知らず、家族は相変わらずの険悪なムードだった。そして男がモールに入って間もなくの時、なんと気象異常によって周辺一帯が大停電を起こしてしまったのである!停電でパニックになる家族を、男が闇の中から狙う!果たして家族は男の迷惑によって殺されてしまうのであろうか!?
と、こんな内容の本作。これでもジャンルは停電パニックなのだが、それよりもこのお節介男の陰惨さやブチキレ加減が非常に印象に残ってしまうという怪作である。他の軸を盛り込んだが為に本編が疎かになってしまった作品は「激震地L.A」などたくさんあるが、まさか一人の登場人物が主役(本作では襲われる家族が該当する)やジャンルを完全に食ってしまった映画は本作ぐらいのものであろう。よって停電後の内容はお節介男と家族の戦いに終始するわけで、本作にはパニック映画としての要素はほとんど無い。そのためパニック映画として観ると非常に大きな肩透かしをくらうわけで、そういう意味で本作はあまり良い出来とは言い難い作品であった。

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