デトロイト・ロック・シティ 「評価 A」
本作は酒・煙草・麻薬を愛する四人組の学生達が、敬愛するロックバンド「KISS」のコンサートのチケットを巡って大冒険を繰り広げるという異色の青春コメディー映画である。
コンサート当日。バンドを組んでいる四人組は、自分達が目標としている「KISS」のコンサートチケットを既に購入しており、十数時間後にはKISSに会えるという事ですっかり御機嫌だった。ところが、そんな四人を悲劇が襲った。なんとKISSを「悪魔の使い」と呼んで毛嫌いしていた親の手によって、コンサートチケットが燃やされてしまったのである! コンサートを観れなくなり、完全にしょげかえる四人だったが、そんな時彼らに幸福が訪れた。なんとデトロイトのラジオ局の企画で、今日行われるKISSのコンサートチケットをプレゼントしていたのだ。そこで彼らは一縷の望みを託して、ラジオ局に電話をかけた。これがチケットを巡る大冒険の始まりだとも知らずに…。
ともすれば、単なる馬鹿学生映画に終わってしまいそうなコンセプトの本作だが、彼らの親を反KISSという位置づけにしたり、チケット争奪戦を通して四人組がそれぞれに成長したりと、話にしっかりした厚みを持たせており、そこいらの薄っぺらなコメディ映画よりも遥かに楽しく観ることができる。まあ簡単に言えば本作は「高校生版・サウスパーク」であり、反KISSの親はまんま反テレンス&フィリップのカイルのママとなり、四人組はまんまサウスパークの四人組と置き換えられるのだ。更にどちらの映画もほとんど同じようなテーマだし、両方ともラストにはしっかりとオチがついていて、全体的な完成度はなかなかの出来である(ただ、本作はテーマについて明確な結論が無いのが残念)。
馬鹿学生については多少評価が分かれるかもしれないが、話のテンポも良く、佳作と言える出来栄えの映画であった。
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