ダイナソーウォーズ               「評価 C」
時代はCGだ。流行らなかった映画「トロン」で始まった映画のCGだが、「ジュラシック・パーク」で世界中の多くの人を驚かせて以来、すっかり映画の基本テクニックとして定着してしまった。今やどんなB級映画でもCGぐらいは使って当たり前の時代である。
ところが、そんな時代に反旗を翻すが如く、奴は私の前に姿を現した。奴は私を含む多くの人間に対して、表面上は「脅威のCG」などという宣伝コピーを用いて、あたかも時代と同調しているかのように振舞っていた。しかし私は奴の真実をこの目で見ることになってしまった。その実態とは…!
「こ、このカクカクした動きはなんだ!?」
奴の化けの皮を剥いでみると、驚くべきことにCGを全然用いておらず、まるで数十年前にタイムスリップしたかのようなカクカクした人形アニメだったのだ。これを見た私は腰を抜かし、奴に対しての驚きを隠せなかった。しかし性格が性格なので、私は奴の宣伝コピーを許し、あまりにも悲惨な実体だった奴に対して敬意を表した。奴の名は「ダイナソーウォーズ」という…。
というわけで「ダイナソー」の便乗でリリースされた本作は、昔懐かしの人形アニメで恐竜達が動く。しかも「ネバー・エンディング・ストーリー」のようなコマ間の特殊処理を全然施していないため、人形のカクカクした動きがモロに感じられるのだ。
だがこの映画のスゴイところは映像だけでは無い。映像がそうであるように、ストーリーまでも同じように凄まじいのだ。どんな点が凄まじいかというと…。
:「事実を元にしている」などと言っているくせに、400万年前の地球に恐竜がいる。
:400万年前と言うと、猿人さえいたかどうか怪しいのに、何故かホモサピエンスがウロウロしている。
:400万年前のくせに、同じ地方に白人と黒人が暮らしている。
:舞台はヨーロッパのくせに、アマゾネス軍団(恐竜を神として崇めている)がいる。
:ストーリー自体に脈絡が無い。
ざっと挙げただけで、こんなにある。これがチープな映像と見事にマッチしているから辛うじて映画になっているものの、本作はまるで学生達が暇つぶしに撮ったかのような壮絶な出来である。しかし映画のノリ自体は「ジュラシック・アマゾネス」に非常に近いものがあるので、そのような映画が好きな人には堪らない作品だ。

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