東京湾炎上                   「評価 C」
本作は、とんでも無いパニック映画である。いや、発想が凄まじい作品とでも言うべきだろうか。とにかく本作は、政府の常人では考えられないような奇想天外な作戦が素晴らしい作品なのである。
巨大タンカー「アラビアン・ライト号」が、数名の黒人シージャッカーによって占領された。彼らは日本政府に要求する。「東京湾沿岸のコンビナートを爆破して、その様子をテレビで実況中継しろ」と。それを聞いた日本政府は考えた挙句、ある計画を立案した。なんと製作中の映画「地球1999」の特撮シーンの1つであるコンビナートの爆破シーンをテレビで放送し、いかにも本物のコンビナートが爆破されたように犯人達を欺こうとしたのだ…。
だいぶ昔、「本物の殺人が見られる!」と宣伝した映画「スナッフ」が公開された。劇映画が終了した後、監督が主演女優をメッタ刺しにするというこの映画、今見れば偽物だとバレバレなのだが、当時の観客達は衝撃的な宣伝によって一種の催眠術に陥っており、その殺人シーンを本物と思い込んで戦慄したという。さて、本作の劇中で使われる「地球1999」の特撮シーンも、炎の大きさなどから明らかに特撮だと分かるような代物だ。しかし先の「スナッフ」の例の如く、犯人達は雨が降るまで全く気づくことなく、危うく騙されそうになってしまうのだ。人間の心理の裏をついた、何とも凄まじい作戦である。

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