カンフー・ゾンビ              「評価 C」
街でも評判の悪いならず者、ロー・タイは復讐心に燃えていた。昨年、二人の子分と実行した銀行強盗をカンフー使いのフォンによって阻止され、つい最近まで刑務所に入れられていたのである。何とかフォンに一泡吹かせてやりたいが、ロー・タイの実力では到底彼には敵わない。そこでロー・タイは或る道士を味方にし、彼が呼び出すキョンシー軍団にフォンを襲わせようと画策したのである。早速フォンを墓場に招き、道士に術を使わせた。墓石の下から現れる無数のキョンシー達。ところがキョンシー軍団は予想外にも弱く、フォンに皆片付けられてしまった上、逆にロー・タイが無差別に人を襲うキョンシーにやられて命を落としてしまった。死体に雷が落ちたショックでロー・タイの魂は消滅せずに済んだものの、復讐には失敗するし自分は死んでしまうしと散々である。道士の話によれば負傷していない死体に宿れば復活できるそうなので、ロー・タイの幽霊は死体探しの旅に出ることとなった。一方その頃、家に帰ったフォンは一族の宿敵である男、レンと戦うために厳しい修行を積んでいた。やがて姿を現すレン。激闘の末に勝利を収めるフォンだったが、レンは独自の修行で不死身の吸血鬼になっており、夜になると息を吹き返した。しかもフォンの父親に取り付いてゾンビになったロー・タイまでもが、レンと協定を結んで逆襲に来たのである…。
短絡的なタイトルから感じられるイメージに反し、何とも豪勢な映画だ。表題のゾンビの他にキョンシーや幽霊、挙句に吸血鬼まで登場し、主人公のカンフー使い相手に画面狭しと暴れ回るのである。ありがたい物に近づけないゾンビや道士にしか見えない幽霊など、個性あふれた各妖怪なんかは見ているだけで楽しいのだが、中でも特に吸血鬼のレンが凄い。最初の戦いでは普通の拳法家スタイルで登場するのだが、クライマックスでは正体が明らかになったためか急に大変身。赤と黒のマントを羽織った実に分かりやすい姿になる上、気合で両手から火炎を放つなど、本場の吸血鬼も吃驚な戦いぶりを見せてくれるのだ。対するフォンも寺の和尚から退魔の力を授かり、全身御札と数珠だらけの格好になると、座禅の姿勢で何メートルもジャンプしたりと最早カンフーの域を超えた戦闘を始める。この二人の超絶バトルは中だるみ気味だった本作の雰囲気を吹き飛ばす程のインパクトがあり、クライマックスを盛り上げるための十分な役割を果たしていた。
話が詰め込みすぎてパンク寸前になっているとか、最後の敵が吸血鬼なら何故「カンフー・バンパイア」というタイトルにしなかったんだとか、色々と言いたい事はあるものの、妖怪の暴れっぷりに関してはとにかく楽しかった作品である。

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