キリマンジャロの悪魔             「評価 C」
ケニアの野生動物保護地域を、大規模な旱魃が襲った。草木は枯れ、深刻な水不足に直面して困り果てる住民たち。ところが本当の恐怖はこれだけではなかった。餓えに苦しむヒヒの群れが食料を求め、人間を襲い始めたのである。その数、なんと9万匹。住民らは生き残るため、ヒヒ達と食料を巡る争いを繰り広げる…。
実際に起きた事件にヒントを得て製作された本作。何に置いても注目すべきところは、集団で襲い掛かるヒヒの恐ろしさだ。このヒヒという動物、もし現実に事件が起こらなかったらパニック映画の題材として取り扱われなかったのでは、と思えるほどマイナーな題材なのだが、力と知恵の両方を兼ね備えており結構厄介な代物である。彼らは常に群れを作って移動し、食料となる人間を見つけては激しい鳴き声をあげて一斉突撃。そして数と力に物を言わせ、反撃の間も与えずに人間を始末してしまうのだ。こんな連中が平原の向こうからワラワラとやって来る様は実に壮観であり、その恐怖を弥が上にも思い知ることとなるだろう。
しかしこの作品、実際の事件を基にしたのがネックとなったのか、パニック映画としての出来は正直今一つである。ヒヒの群れによる襲撃シーンは序盤からクライマックスまで均一に同じ規模なので盛り上がりに欠ける上、ラストの決着も釈然としないまま幕を閉じてしまう。ヒヒという素材の面白さは良かったが、それ以上の楽しみは感じられない作品だった。
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