虐殺チェーン・ソー 地獄のシー・サイド    「評価 D」
イギリスの刑務所から、刑期を終えた二人の女性、ケーシーとジョーが出てきた。かつての罪を悔い、更正を誓った二人。以前の悪仲間からの誘いも振り払い、海岸で軽食店を開くことにした。ところが店にするために購入した廃屋は町の若者達の溜まり場と化しており、夜になると彼らは集まって酒盛りを始めたのである。怒った二人は保安官に何とかしてもらうよう頼むものの、彼もまた若者とつるんでおり、まともに取り合ってはくれなかった。しかも町の若者達は溜まり場を奪ったケーシーらを恨み、何としても追い出さんと連日に渡って嫌がらせを続けたのだ。二人は半ば意地になってそれに耐え、開店の準備を整えようとするが…。
スプラッターブーム全盛の80年代前半。「馬鹿な若者達が殺人鬼に殺される」なんてプロットの映画が星の数ほど作られてきたが、その中で本作の製作者はこんなことを考えたのだろう。「もう似たり寄ったりの映画を作っても売れないだろうなあ。何か観客へのアピールになる特色でも付けないと……そうだ、いつもだと殺される側にいるような馬鹿な若者を殺人鬼にしてはどうだ!? 馬鹿な若者がマトモな連中を殺しまくるんだ。これはきっと馬鹿な若者に売れるに違いない。がはははは!」そんなわけで本作、常道パターンを引っくり返し、馬鹿な若者達が寄ってたかって真面目に更正しようとする主人公と周りの人間を苦しめるという内容である。彼らによる凄惨な嫌がらせの数々。勝手に家の中を掻き回したり、ゴカイを詰めこんだ魚を送りつけたり、チェーンソーで店をズタズタに引き裂いたり…まさに目を覆わんばかりの物で、これがやがて殺人にまで発展していくのだ。この若者達の所業がもたらす嫌悪感は並々ならないものがあり、その上クライマックスの逆襲劇も敵役同士の潰し合いが続くのでいまいちスッキリせず、観終わった後には遣る瀬無さが残ってしまう。定番と違ったことをやったはいいが、それが良い方向に傾いているとはとてもじゃないが思えない映画だった。

GO TO TOP!!