吸血家族                「評価 D」
街の人間から悪徳地主と呼ばれ嫌われている男、アームストロング。満月の夜、彼はボスニアからやってきた吸血鬼親子によって血を授かり、世にも恐ろしい吸血鬼になってしまった。アームストロングは本能に従って周りの人間を次々と吸血鬼化していき、一晩のうちに街は吸血鬼の天国と化した。だがそんな中で、彼の娘とその恋人だけは吸血鬼となりながらも本能に逆らい、暴走する吸血鬼らに戦いを挑んだ…。
これは困った映画だ。幾ら集中して観ても、ストーリーがさっぱり見えてこない。上に書いたストーリーは登場人物の台詞に私の推測を交えて書いたものであり、製作者の意図と一致するのか正直言って不安だ。あらゆる状況は常に台詞だけで説明され、映像は決して何も語らない。登場人物が沢山出てくる割には、殆どが知らず知らずのうちに吸血鬼にされて背景と化していく。また誰かが吸血鬼になると伏線らしき映像が矢継ぎ早に映されるのだが、それが何の意味を持っていたのか明らかになることは無い。この三点だけでも十分に観客を混乱させるに足るのだが、本作はこれに加えて終始映像が暗く、何が映っているのか全く分からない場面まである始末。まるで観客に内容を把握させないよう仕組まれたかのような作品であり、普通に観るならば内臓や食人の描写しか楽しめない映画である。

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