ガルガメス                「評価 B」
とある王国のダビン王子は、悲しみに暮れていた。王だった実の父親が死んだ上、その原因が自分と行った乗馬の訓練にあると思いこんでいたのである。すると王の側近はそこに付け込み、王子の名を借りて暴政を始めた。隣国の王達を協力という名目で投獄したり、民に対し過酷な統治を行ったり、挙句に王子を監獄に幽閉して国を乗っ取ってしまったのだ。何もかも失ってしまったダビン王子。だがそんな彼にも、頼りになる存在があった。王家に代々伝わる守り神、ガルガメスである。元々は小さな石像だったガルガメスだが、王子の涙を浴びた途端に動き出し、彼の良き友となっていたのだ。王子は鉄を好物とするガルガメスに助けられて監獄を出ると、国を取り戻すために立ちあがった…。
「涙によって動き出す」「鉄を食べる」「暴政を働く権力者を打倒する」というキーワードから大方想像はつくかもしれないが、この映画は北朝鮮を脱出した申相玉監督による「プルガサリ」のリメイクである。主人公に元権力者を据えるなど、筋書きは大幅に書き直されているものの、ガルガメスが落石に埋もれて死にかけたり、敵の火炎砲を撃ち返したりする場面はまさしく「プルガサリ」そのものだ。それでも中世ヨーロッパを舞台にしてもさほど違和感が無いのは、この手の権力者を打倒する話が洋の東西を問わずに親しまれてきたためであろう。
また本作はリメイクに当たり、様々な点でグレードアップが成されている。ガルガメス幼生体の顔がミニラを想起させるようなユーモラスなものになっており、醜悪としか言いようの無かったプルガサリ幼生体よりも遥かに親しみやすくなっている。またガルガメスが全身炎に包まれてパワーアップする場面では、ただ体の色が赤くなるだけだったプルガサリと違い、黒を基調としたボディに溶岩の如く赤いヒビの入った姿に変わり、見栄えのするものになっていた。そして土壇場になって逆転の方法を思いつく悪の側近達や、ベタながらも感動させてくれるガルガメスの最期など(なんと本作のガルガメス、プルガサリのように決戦後もダラダラと生き延びたりはしない!)、ストーリーの盛り上げ方も格段に上手くなっているのだ。
この映画、さすがにみんなで体を張って製作した「プルガサリ」に比べると、怪しさやトンデモ具合は大幅にダウンしている。だが数々のグレードアップによって一層楽しめる映画になったので、リメイクとしては成功の部類に入る作品だった。

GO TO TOP!!