空想科学任侠伝 極道忍者ドス竜   「評価 C」
遥か昔より忍びの者との関わりを持っていた極道組織、忍道組。ある日そこの組長の娘であるしのぶは、「天部衆」を名乗る三人の忍者から一つの鈴を貰った。それは持ち主に危機が訪れた時だけ音が出るという不思議な物で、彼らは音を聞いた時にすぐ参上してくれるのだという。そして数日後、関東の任侠界を揺るがす重大な事件が発生した。新たに勢力を伸ばしてきた乱獣寺一派が関東を征服せんと旗揚げし、手始めに対抗組織の有力者達を次々と始末していたのだ。彼らの手によってしのぶの父も殺されてしまい、敵討ちに出た組員達も返り討ちにあってしまった。更にしのぶは乱獣寺に見初められ、彼の手下達によって攫われてしまう。乱獣寺と対面するしのぶ。とその時、鈴が激しく鳴り出した。その音を聞いた天部衆の三人は忍装束に姿を変え、すぐさま乱獣寺のいる巨大な建物へと突入する。その行く手を阻む極道達。彼らを次々と打ち負かしていく三人だったが、極道達は倒されるや否や醜い怪物に姿を変えていった。驚くべきことに乱獣寺一派の正体は、地球侵略を企むエイリアン軍団だったのだ…。
本作はあの永井豪が自ら監督まで務めて製作した、SF忍者アクションである。「極道と密接な関わりを持つ忍者」という発想だけでも既に非凡の域にまで達しているが、それに加えて宇宙人の地球侵略まで絡めてしまったとなれば、もうただ笑い転げる驚嘆するしかない。しかもこの壮絶なプロットに輪をかけるかのように、大槻ケンヂ扮するドス竜の容姿がまた凄いのだ。竜のバンダナで頭を覆い、背中には立派な竜の刺青。おまけに忍装束には漢らしい字体で「極道忍者」とデカデカと書かれているのである。このデザインの恥ずかしさは、アメリカのニンジャ映画で見られる原色の忍装束なんかの比ではない。普段のドス竜が絵に描いたようなチンピラの格好(これも相当恥ずかしい)をしているだけあって、この変身後の姿には一層恐ろしいものが感じられるのである。
また本作、天部衆の一人として女忍者が登場する。コメディタッチの永井作品でそういう役回りのキャラが出てくるとまず間違い無くお色気シーンと相場が決まっているが、この映画もご多分に漏れずサービスシーンが存在した。それは映画のクライマックス、女忍者と乱獣寺配下の女暗殺者が戦う場面である。二人の戦いは次々と場所を移して行われ、やがて畳敷きの部屋に入る。ところがこの部屋、何故か真ん中に黒いマットが敷かれており、二人はその上で唐突に取っ組み合いのレスリングを始めるのだ。しかもその際に女忍者は忍装束を脱ぎ捨て、レオタード姿になるという懲り具合。暗い部屋で淡々と行われるので画的には地味だが、実に永井豪らしいサービスシーンと言えよう。
他にも暗闇でドス竜が一人語りする場面が異様なオーラに満ちていたり、ごく普通の学生であるはずのしのぶが3mはある高さから飛び降りて全然平気だったりと、突っ込み始めたらキリの無い本作。何とも素晴らしい映画である。

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