カンニバルシスターズ        「評価 B」
アニメ映画の監督をしているトムは、友人から誘われて雪山に釣りをしにいった。ところが目的地に着いていざ釣りをするという時になって、トムは荷物を入れたバッグを途中で落としてしまったことに気づく。トムはバッグを探そうと、スノーモービルに跨って来た道を逆走した。だが運転を誤り、スノーモービルは木に激突。困ったトムはスノーモービルの修理を行ってくれる人を探し、近くの民家に立ち寄った。民家にいたのは老婆の姉妹で、彼女らは客人であるトムに歓待を施した。トムは親切な彼女らに喜びながらも、釣り場の友人らが自分を心配しているかもしれないと思い、一旦家を出ようとした。しかしその時、トムの意識は朦朧となり、瞬く間に気を失ってしまったのである。
気がつくと、トムは車椅子に縛り付けられていた。姉妹の正体は冷酷な猟奇殺人鬼で、やかましいスノーモービルに乗ってくる人間を捕まえては拷問し、殺していたのである。トムは民家の棚に並んでいた彼女らのコレクション、今まで殺してきた者達の変わり果てた姿を前に絶句する。何とか逃げ出そうとするが狡猾な彼女達には如何なる策も通用せず、遂にトムは家の地下室に連れて行かれ、額にドリルで穴を開けられそうになった。
だがそこへ、トムを探しに来た友人達が現れた。彼らは姉を即座に射殺すると、トムを連れて家から逃げ出した。すかさず彼らを追いかける妹。スノーモービルでの追跡戦の果て、両者は雪崩に巻き込まれてしまった。
それから三ヶ月後、奇跡的に生き延びたトムは、この事件を題材に新しいアニメ映画を作ることを決めた。そこで姉妹の身の回りを調べるトムだったが、彼はやがて、姉妹が受け継いできた恐るべき血統を知る…。
「カンニバルシスターズ」という邦題だが、劇中で妹が言うには「食べるのは姉だけの趣味」らしく、また実際の食人シーンも皆無なので微妙に的を外したタイトルだと言えなくも無い。まあそれはともかくとして、本作は冒頭でありがちなスプラッタームービーをやりながらも、その後の姉妹の血統にまつわるサスペンスへと展開していく様が実に巧み作られており、決して「二本の映画を観た」ような気分にならない辺りが見事である。妹の忘れ形見である女性に妹の役回りを演じさせたりと、中盤以降トムがどんどん非道かつ非常識なキャラになっていくのは観ていて辛いものがある。だがそのおかげでクライマックスの「姉妹の血筋との決着」がより緊迫感の増したものになっているので、結果として良い方向に働いているのだ。
最終的に幾つかの謎が未解決のままで、話としては消化不良に終わるのだが、それまでの盛り上げ方や繋ぎ方に関しては十分に満足のいく作品である。

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