グリズリー             「評価 C」
平和なはずの自然公園に二人の女性の悲鳴が響き渡った。山奥から迷い込んできた人食い熊「グリズリー」が彼女らの前に姿を現したのである。グリズリーは彼女らを血祭りにあげると、何処ともなく姿を消した。その日の晩、公園の警備員が女性の死体を発見し、これを熊の仕業と認定する。ところが管理者はパニックが起きるのを考慮し、あくまでこの事件を普通の熊の仕業とし、証拠が集まっても決してグリズリーが出たとは公表しなかったのである。そして管理者らは腕利きのハンター達を雇ってグリズリー狩りを開始するのだが、残忍かつ神出鬼没なグリズリーは次々と彼らを返り討ちにしていった…。
後の「ワイルドグリズリー」などへと続く、元祖熊映画である本作。元来ジョーズに便乗して製作されたのでキャッチコピーが「陸のジョーズ」という柳の下街道まっしぐらな物になっており、今では哀愁を感じずにはいられないものの、巨大な監視塔を薙ぎ倒したり、馬の首を刎ね飛ばしたりと、熊の残虐性をありありと描写してくれるのでモンスター映画としては満足のいく内容になっている。またファミリー路線を目指したためにラストに不満が残った「ワイルドグリズリー」とは違って、本作では人間を食い殺したグリズリーがド派手に爆殺されており、同じ熊映画でも偽善的な結末にやきもきすることもない。
ところが本作、ジョーズに対抗するべく「全長15フィートの巨大熊!」と謳われているが、人間を絞め殺すカットで映し出される熊はどう見ても10フィートがいいところで、明らかに普通の熊と変わらないのである。たとえ巨大熊が用意できなくても、ヒット作への対抗心は忘れない。モンスターパニックとしてはまずまずの出来なのに、今観るとこの意気込みが未練がましく感じられた映画だった。

GO TO TOP!!