ゴジラ FINAL WARS          「評価 A」
世界各地に出現した怪獣を一瞬にして消し去ったX星人。地球はその科学力に感服して彼らと協力関係を結ぶことにしたが、実はX星人の真の目的は地球を自分達の牧場に作りかえることだった。地球人がその事に気づいた頃にはもう遅く、X星人は無数のUFOと、ガイガンを始めとする怪獣軍団を操って総攻撃を開始する。地球防衛軍は彼らに対抗する最後の手段として、南極に封印されているゴジラを復活させようとするのだが…。
いやあ、この映画は凄かった。お馴染みの東宝怪獣大量出演に加えて「海底軍艦」「惑星大戦争」「地球防衛軍」「妖星ゴラス」といった東宝SF映画の代表作まで組み込んだ、「怪獣総進撃」以上のお祭り映画である。
世界各地を襲う怪獣にはアンギラスやラドンといったシリーズの常連からエビラやクモンガといった、大半の観客が「誰よこいつ?」と思うような連中まで揃いぶみ。しかもその全員(無論マイナー怪獣も含む)が、襲撃した各都市を火の海に変えてしまうのだ(特にラドンがニューヨークの街並を衝撃波で粉砕する様は必見。米国ゴジラでは見られなかった光景が本作では見れる!)。これらのシーンはその後におけるゴジラの強さを強調するものである以上に、「おお、米国ゴジラがちゃんとした都市破壊を行っている!」とか、「カマキラスってこんなに強かったのか!?」とか、今までのゴジラ映画を観てきた者にとって新たな発見と驚きが味わえるようになっているのだ。このサービス精神は実にお祭り映画らしいと言えよう。
そして何より、本作は後半で繰り広げられるゴジラVS怪獣軍団の7連戦が壮絶極まりない。それまで人類が手も足も出なかった怪獣たちが、ゴジラ一匹の手によって(一部モスラも加勢してはいるが)次々と薙ぎ倒されていくのである。その豪快な戦いっぷりはまさしく爽快の一言(「本家と比べて弱すぎ」と評判だった米国ゴジラが本家ゴジラに瞬殺されるのはある意味ファンサービスとも言えよう)。全シリーズ中、チタノザウルスと1、2を争う程のマイナー怪獣であるキングシーサーがアンギラスやラドンと同等の扱いを受けていたのは不思議だったが、十数体もの怪獣相手に立て続けに行われる乱闘は今までのゴジラ映画の集大成に他ならず、本作を「VSデストロイア」よりも遥かに最終作に相応しいものにしていた。
だが本作、これだけ盛り上がる内容なのにも関わらず、途中何度か挿入される北村アクションがその熱を冷ましているように思えてならない。エビラVS地球防衛軍のように怪獣との戦いでそれが発揮されるのなら大歓迎だが、人間同士の戦闘シーンでも北村アクションが炸裂し、しかもそれが無駄に長く続くと観客としては大いにテンションが下がってしまう。また無数にあったUFOが急に全部消えてなくなったりと不可解&御都合主義な点も星の数ほど存在する。「矛盾や辻褄があわない点はゴジラシリーズのお約束」と言えばそれまでなのだが、歴代東宝SF映画を観てきた者にとってこれ以上ない集大成な内容だけに、せめてもう少し話を練りこんでもらいたかったものである。
(しかし、エンディングで映し出されたヘドラの都市破壊カットは本編に出てこなかった。やはりディレクターズ・カットが出るんだろうか)

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