クラッシャー 大津波          「評価 C」
大戦中、ノルマンディー攻略のために人工的に津波を起こす研究がなされていた。だが技術が未発達だったためこの研究が実を結ぶことは無く、やがて研究自体が闇に葬られてしまった…。それから数十年後、密かにこの研究を行っていた科学者が津波を引き起こし、多数の死者を出すという事件が起こった。この緊急事態に際し、波の専門家達は集結して事態の収拾に取り組もうとするが、犯人はそんな彼らを翻弄するが如く、全く別の人物に罪を擦り付けて彼らの中に紛れこんでいたのである。
本作では本来災害である津波を人工的な兵器とすることで、パニック映画とアクション映画の要素を兼ねた作品になっている。なのに同時期にリリースされた純粋なパニック映画である「大津波」と比べても、迫り来る津波の描写は丁寧に描きこまれているCGのおかげで格段にリアルで、加えて迫り来る津波をボートで正面突破してしまうといった海上アクションも充実しており、まるで「大津波」の立場を完全に無くしてしまうかのような映画であった。
(これがドイツとアメリカの差というものなんだろうか…)
ただ本作、「大津波」同様に津波の描写には些か問題が見られる。本作の人工津波は海底にミサイルを撃ち込むことによって発生するため、当然生じた波は円状に広がって行くはずである。しかし本作のクライマックスでは人工津波による被害を食い止めるため、なんと反対方向から同程度の威力を持つ人工津波を発生させて威力を相殺させているのだ。これでは威力が消えるのは二つの円がぶつかり合う一部だけで、殆どの波は何事もなかったかのように広がって行き、陸地を飲み込んでしまうだろう。
話の内容は「大津波」より遥かに面白いのだが、兵器として津波を用いたことに無理が感じられた映画だった。

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