カブキマン                   「評価 B」
姿を潜めていた絶大なる悪が、今再び蘇ろうとしている。この悪と戦い得る力を持つのは、遥か昔に悪を打倒したヒーロー、カブキマンしかいない! というわけで新たなカブキマンとなってくれる人間を探していたカブキ役者の老人がいた。幸いにもその人間は見つかり、あとはカブキマンの力を注入するだけ、と思った折、その人間は悪の手先によって惨殺されてしまった。しかも老人はアメリカで公演している途中、同じくカブキマンの復活を阻止しようとする邪悪の手先によって蜂の巣にされてしまった。動くことも出来なくなり、今まさに息絶えてしまてしまいそうな老人。このままカブキマンが誕生しなかったら、世界は悪に滅ぼされてしまう。そこで老人は、偶々その場に居合わせていた刑事に最後の力を振り絞った波動を放ち、彼をカブキマンに仕立て上げたのである。老人はその直後に死んでしまい、ワケの分からない力を貰ったことに戸惑う刑事だったが、老人の娘である日本人女性と一緒に悪を倒すべく立ちあがった。
本作は、「悪魔の毒々モンスター」シリーズで一世を風靡したトロマ社が日本人と手を組んで製作したコメディ映画である。場面と場面の間にバットマンのようなアイキャッチが入るなどアメコミヒーロー物のパロディも散見される本作だが、それ以上に特筆すべきはトロマ映画特有の悪趣味全開なムードだろう。この映画の中では赤ん坊が容赦なく殺されるなんてのは当たり前。歌舞伎顔の男達による劇に退屈していた観客が役者が撃たれた途端に大喜びするわ、生きているミミズを老人が平気で貪り食うわ、警察署では事情聴取中の警官達が平気で相手を虐待しているわ、相変わらずのお上品な人間お断りな低俗さ加減で、観る者をいろんな意味で圧倒し続けるのだ。
と、要するに本作はいつものトロマ映画であり、物凄く好き嫌いが分かれる映画ではある。

ちなみに本作の主人公カブキマンはその後、「悪魔の毒々モンスター 新世紀絶叫バトル」にゲスト出演する。しかしヨレヨレながらも根は真面目だった本作のカブキマンとは打って変わって、「新世紀絶叫バトル」でのカブキマンは単なる変態親父と化しており、トロマ社のいい加減具合が実によく分かる作品であった。

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