案山子男 「評価 C」
トレーラーの中で母親と暮らす少年、レスター。彼は学校では教師や同級生から苛めをうけ、また家では母親の愛人から邪険に扱われつづけてきた。そしてある晩、怒りが爆発し母親の愛人を攻撃するレスターだったが、敢え無く返り討ちにされ、畑の真ん中で首を締めて殺される。その殺人を見ていたのは、一体の物言わぬ案山子だった。死してもなお無念さを抑えきれない少年の魂は案山子に乗り移り、自分を苛めてきた連中へ復讐を開始する。
本作は80年代に隆盛を極めたティーンエイジ・スプラッターを彷彿とさせる、全く新しいモンスター案山子男を主人公に据えたホラー映画である。この案山子男は造型の汚さも良い味を出しており、新しいホラーヒーローとしてなかなか期待が持てるキャラだった。
だが本作は案山子男に「復讐」という明確な行動原理を付けてしまったがために、映画の内容に無理が出てきたように思われるのだ。序盤で主人公を苛めていた連中の殆どは、案山子男が誕生した途端にあっという間に殺されてしまう。それでも殺し足りない案山子男はやがて関係の無い人間まで殺して行くのだが、本作はこの暴走への転換が非常に唐突で、いまいち案山子男の悲哀を味わえないのである。
そんなわけでホラー映画としてはどうも中途半端な印象の本作だが、ジェイソンやブギーマンが復活している近年において、こういう新しいホラーヒーローには是非頑張って欲しいところだ。続編に期待が持てるキャラクターである。
……と私は、「案山子男2」を観る前まで思っていました。
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