グレートハンティング             「評価 C」
ヤコペッティの「世界残酷物語」で全盛を極めた、ヤラセ・ドキュメンタリーというジャンルがある。「人が求めているのは残酷だ!」と言わんばかりに世界各地の衝撃的な映像を集め、更に撮ろうとしても撮れないような場面は意図的に作り出し、恰も事実であるかのように他の映像の間に挿入する。そして映画全体をひっくるめて「これは世界で実際に起こっている事件だ!」と宣伝し、人々を戦前の見世物小屋に行くような感覚で映画館に向かわせたのである。(このような誇大広告の是非については、敢えてここでは論じないでおく)
本作もそんなヤラセ・ドキュメンタリーの1つであり、ヨーロッパのキツネ狩りやオーストラリアのアボリジニが日々行っている狩猟など、世界中で行われている様々な「狩り」に焦点を絞った内容になっている。中でも特に人間が人間を狩るシーンや、人間がライオンに襲われるシーンの衝撃さがウリな本作だが、これらが全てヤラセなのが分かってしまっている今では大した驚きも味わえない。しかしこれらを抜きにしても、「ブーメランで大コウモリを仕留めるアボリジニ」とか「コンドルを生け捕りにする方法」とか、まともなドキュメンタリー部分だけで十分楽しめる出来になっているのが本作の強みと言えよう。(勿論、ヤラセを知らずに観たら二倍楽しめるはず)
だが「ロビ族の繁殖の儀式(竹筒に精液を溜めて川に流す)」とか、偶に狩りのテーマから外れていて時間繋ぎに使われているとしか思えないような場面もあり、ドキュメンタリーとしての一貫性に欠けている印象もある。そのような理由もあって本作の評価は低めになってしまった。

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