火星超特急 「評価 C」
全世界が注目する中、科学者達を乗せたロケットが火星探検へと出発した。ところが地球と火星の中間地点の辺りで、ロケットは流星雨に遭遇してしまった。見事にバッテリーが破壊され、地球へ引き返すか火星に骨を埋めるか、クルーは選択を迫られることになる。多数決の結果、火星に向かうことになった一行だが、なんとそこには地下に高度な文明を築く人間そっくりの火星人がいた。早速彼等の協力を得てロケットの修理に乗り出すクルー達だったが、実は火星人は地球の侵略を企んでおり、ロケットを侵略の尖兵に仕立てようとしていたのだ……
本作は、SFのお約束をこれでもかと詰め込んだ古典的娯楽作である。しかし同時期の作品と比べても本作は全般的に物凄くチープな雰囲気が漂っており、まるで最近作られた古典SFのギャグパロディでも見ているような気分にさせてくれる映画なのだ(実際、後年のパロディSFでギャグとして使われているような場面が本作では真面目に出て来たりするから頭が痛い)。例えば火星に着陸するシーンでは、「胴体着陸だ!」と言っておきながらロケットは頭から山に突っ込んだ上にそのショックで発生した雪崩に巻き込まれ、ただでさえ故障していたロケットはますます酷い状態になる始末(でもクルーは無傷。ほとんどギャグ漫画の世界だ)。聳え立つロケットや火星都市が出てくるカットは当然のごとく全部一枚絵で、数少ない特撮シーンに使われている模型は宇宙空間を浮遊するロケットだけという凄まじさ。しかも火星人は高度な文明を持っているくせに実はロケットの自作もできないし(それで地球侵略を企んでいるのだから恐ろしい)、火星総督の着ている宇宙服はどう見てもドラ○もんだ(酸素マスクを付けているだけで火星表土を歩き回っている地球人たちに対し、物凄い宇宙服を着込んで地表を歩く火星人達。一体宇宙人はどっちだ!?)。
これらの部分的なチープさに加えて肝心の話の方も余韻もへったくれもない締め方をしていたりと、とにかく見ていて脱力すること請け合いだ。B級SFが好きならばぜひとも観ていただきたい作品である。
GO TO TOP!!