怪物の花嫁                   「評価 B」
本作は御存知、かの最低映画監督として名高いエド・ウッドの代表作の1つである。それにしてもこの監督の作品を観ていると出演している俳優(特に男優陣)がどの作品も同じため、まるでどこぞのコントでも観ている気になるのは自分だけであろうか?(まあ、実際に映画の内容も素晴らしいまでのコントっぷりなのだが)
町外れの森に狩りに出かけた二人の男。だが振り出した大雨のせいで何の獲物も取れず、男達は取り敢えず雷から身を守ろうと怪物屋敷として名高い近くの空家に向かった。だが行ってみるとその空家には奇妙な風貌の博士と助手らしい筋肉質の男(博士はロボと読んでいるが、どうやら単なる改造人間らしい)が住んでおり、彼らのあまりにも怪しい雰囲気を恐れた男達は雨宿りするのを止めてまっすぐ家に帰ろうとした。ところがその途中、沼の近くを歩いていた男達は突然沼の中から現れた巨大な蛸(足以外は一切動きません)に襲われ、一人は水の中に引きこまれてしまったのである!慌てて逃げたもう一人の男も家から送り出された筋肉質の男によってすぐに捕えられ、家の地下にある実験室(電球が数十個並んだだけの謎の器材がとても古典的)へと連れこまれた。そして男は博士が秘密裏に行っている「原子力の力で人間を20倍の力を持つ超人にする」研究の実験体にされてしまったのだ! なんとこの博士は危険な研究を恐れられて祖国を追放された科学者で、その悪魔の研究でロボや巨大蛸をつくったのである!(劇中でロボや巨大蛸については説明が一切されて無いが、きっとそうなんだろう)だが当然の如く実験は失敗し、男は死亡してしまった…。
翌朝、町の新聞では男達の失踪の記事がデカデカと報道されていた。実はここ数ヶ月の間に何十もの人間が沼の近くで失踪しており、町では謎の怪物の仕業かと噂されていたのである。そこで新聞記者のジャネットは単身沼へ取材に向かい、彼女の婚約者である警察官のディックも、沼に向かっていなくなった古生物研究の権威と称する科学者(実は沼地の博士と知り合いのこの科学者、警察達の前に現れて協力しようと言った割には単身沼に向かい、その後巨大蛸に食われて二度と警察達の前に現れることは無かった。いったい何のために協力することにしたのか、甚だ不明である)を追って同じ場所に向かっていたのだ。そして一足早く沼の近くに辿り着いたジャネットだったが、車が事故に遭い森の中をさまよっているうちに大蛇(女優と一緒に映るカットではピクリとも動かない)に襲われ、気を失ってしまった。だが突然現れたロボが大蛇を倒し(格闘シーンは紐切れを振り回しているようにしか見えない素晴らしい出来)、気絶しているジャネットを博士の家へと連れて行った。こうしてジャネットを手に入れた博士は意識を取り戻した彼女に催眠術をかけ、ロボの花嫁にしようと実験台の上に寝かせたのである。その頃、ディックもワニなどの襲撃(もちろん俳優とワニが一緒に映るカットは無い)を掻い潜り、単身博士の家に辿り着いた。だがあっと言う間にロボに捕まり、ディックは研究室の壁に鎖で繋がれてしまった。そして改めてジャネットを超人にするための実験が開始された。だが装置のスイッチが押される直前になって、ジャネットに恋していたロボが実験の失敗を予感して博士に殴りかかったのである! 博士を気絶させたロボは催眠術が解けたジャネットを救出すると、普段から扱き使われてきた博士を倒すために実験台の上に縛り付けた。そしてスイッチを入れるロボ。ところがなんと実験は成功してしまい、博士は常人の20倍の力を持つ超人になってしまったのだ! 二人の超人による戦いは想像を絶し、いずれロボが壁に叩きつけられたのをきっかけに研究室は炎上を始めた。だが研究室での戦いはロボが勝利し、ロボはジャネットを連れて博士の家から脱出した。
これらのドサクサに紛れてジャネットに解放されていたディックはロボ達を追って家の外に出る。そして外に集結していた警官隊と共に森をさまようロボ達を追いかけたのだが、いつの間にか復活して家の外に出ていた博士の攻撃を受けてロボは死亡した。こうしてジャネットの身柄を確保したディック達は、超人と化した博士へ一斉射撃を開始した!(銃を撃つ3つぐらいのカットが繰り返し繰り返し流れるだけです)この一斉射撃に耐えられなくなった博士は沼の中に逃げ込む。しかし、そこには巨大蛸がいた! 警官達の見守る中、蛸と博士の格闘(やっぱり蛸は足以外ピクリとも動かない)が行われたが、雷に打たれて巨大蛸は博士もろとも爆発。森にはキノコ雲があがった(っておい!)。こうして事件は解決し、燃える沼地をディックとジャネット、警官達は黙って眺めるのであった…。(どうでもいいが、何故か博士と蛸の格闘しているカットだけ雨が降っていた。きっと別の日に撮影したんだろう)
と、相変わらず弾けていてツッコミどころ満載の本作。さすがにプラン9と比べると筋書きらしいものがあるため馬鹿映画としての評価は下になるが、それでも独特の素晴らしい台詞回しなどは十分に観る価値のある映画であった。

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