クライマー                   「評価 C」
ある巨大企業が天然ガスによる新たな発電システムを開発し、そのコントロールタワーがドイツに完成した。だがそのビルの防犯構造には欠陥があり、それに気付いた警備主任のロバートは会社に訴えたものの、その欠陥部分というのが地上数十階という場所にあったので全く相手にはされなかったのだ。意見を聞き入れてもらえずふて腐れるロバートだったが、その晩彼は突然企業に恨みを持つテロリスト達によって誘拐されてしまった。タワーへの侵入経路を探っていた彼らはロバートと一緒にいた同僚を人質にとり、彼から防犯構造の欠陥を聞き出した。そしてヘリによる監視がなくなる風の強い日を見計らい、テロリスト達はロバートを連れて欠陥のある場所、すなわち地上何十階という高さの場所まで壁をよじ登っていくという途方も無い計画を実行に移したのである。
ビルの壁をよじ登ると言えばクレイジー・クライマーというゲームがあったが、まさに本作はそのゲームさながらの印象を受ける。なんと話の3分の1近くもの時間がただ延々とビルの壁を登るシーンに費やされているのだ。また気候の悪い日に登るのだから強風が吹いたり霜が出てきたりと登っている途中に様々なトラブルが発生し、ロバートやテロリスト達を苦しめる。このあたりはまんま山登り映画のノリになっており、観ていて非常に楽しい出来になっている(本作のタワーは窓が少なく、登山用のフックとロープで大半の場所を登っていたりと、とにかく芸が細かい)。
だが本作、折角タワーを登るシーンは面白いのに人質にされた同僚の方の話がやや消化不良に終わった感があるなど、話の方がいまいちな出来である。折角の発想が生かされていない惜しい作品だった。

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