吸血鬼ゴケミドロ 「評価 B」
旅客機に爆弾が持ちこまれた。この知らせを受けた旅客機の副操縦士とスチュワーデスはさっそく乗客の荷物を調べたのだが、ある乗客の鞄から意外なものが発見された。それは爆弾でなくライフルである。持ちこんだ武器が見つかり、その鞄の持ち主の男は勢いで旅客機をハイジャックする。ところが間もなく、旅客機は謎の発光体と衝突して人里離れた岩場に墜落してしまった…。
そこから始まる乗客やスチュワーデス達のサバイバル。無線も壊れ、辺りには水も無い。そこでハイジャックの男はスチュワーデスを人質に岩場の脱出を図ったのだが、その途中で男は旅客機を墜落させた謎の発光体と遭遇。発光体から出てきた液体状の物体に男は体を乗っ取られてしまった。そう、この液体状の物体こそ地球征服を企む脅威の宇宙生命体「ゴケミドロ」だったのだ! 男に取り付いたゴケミドロは次々と生き残った乗客達に襲いかかる。果たして彼らは生きて岩場を脱出できるのであろうか!?
という内容の本作だが、やはり松竹の特撮らしく、かの「宇宙怪獣ギララ」同様に特撮関係は非常にツッコミどころ満載である。しかし本作はそれに加えて話もアレだったギララと違い、人間ドラマはなかなか秀逸な出来だった。なんていたって、たかが旅客機一機に政府の大物とその愛人やら宇宙生物研究家やら催眠術師やら自殺志望の青年やら、常識では考えられないような濃いメンツが勢揃いなのだ。そんな彼らが極限状況でどんどん追いこまれ本性剥き出しになっていく様は、とても子供向けのお盆怪奇映画とは思えない。特にゴケミドロが人間に取り付くシーンなんかは、いきなり人間の額がパックリ割れて、その中へゴケミドロがズルズル入っていくという背筋も凍る気味悪さ。こんなの子供の時観ていたらトラウマになること請け合いである。更にそういった不気味さを何十倍にも増幅させる衝撃のラストシーンなんかは、劇場で観て泣きじゃくる子供の顔が目に浮かんできそうなものとなっていた。
先程も述べたように特撮はアレな出来だが、ドロドロの人間ドラマはかなりの出来映えだ。ある意味「マタンゴ」にも通じる恐怖感は相当のものなので、そういった作品が好きな人は必見の映画である。
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