恐怖のカービン銃 「評価 B」
本作は1950年代当時、日本で実際に起きた事件を基にして作られたセミ・ドキュメンタリー映画である。
戦後の高度経済成長の中、コンブ屋から流れてギャング団を結成した5人がカービン銃を使って保安庁技術研究所の係長を誘拐した。5人は係長の男を利用して大金を奪おうとしたのだが、男が逃げ出してしまい、ギャングの5人は警察に追われる身となってしまう。そこで警察から必死の逃亡を始めた5人だったが、1人、また1人と警察に逮捕されていき…。
この映画、B級怪奇映画を思わず想起してしまうようなタイトルの割には、非常に真面目な犯罪映画となっている(ちなみにコンブ屋というのは、古い車のパーツだけを新品と取り替えて、あたかも新車に見せて売るという、高度経済成長期に多くあった職業を指し、決して昆布を売る人のことではないらしい)。しかも48分という非常に短い時間の中で、誘拐作戦の開始から失敗、犯人の心の葛藤、最後の1人の逮捕までをなかなかスッキリと見せてくれるし、結構上出来の作品とも言えるのだ。
しかしこんな割かし小規模な事件を元ネタにして映画を作ってしまうとは、やっぱり新東宝。確かに事件当時は結構話題になっていたかもしれないが、映画を観る限り、結局犯人グループは象徴とも言えるカービン銃を一発も撃っていないわけだし、誘拐した男は簡単に逃げちゃったんだし、考えようによっては軽い誘拐事件程度で済むような規模なのだが…。
やっぱり実際にあった事件を基にしての映画というものは、元ネタの事件が映画の出来を左右するようだ。「三億円事件」や「香港人肉食事件」と比べると、どうも本作の事件は地味すぎたため、パッとしない出来になってしまった。
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