ゴジラ対メガロ 「評価 B」
第二次怪獣ブームの最中、ゴジラ映画は年に一度公開されていた。ところが、年に一度作らなくてはならないスタッフ側も大変で、ハードなスケジュールで気力も限界に達し、ついつい手抜きをしてしまった…かどうかは知らないが、本作「ゴジラ対メガロ」では何をトチ狂ったのか、まさに独特すぎる世界が観られるのである。
アリューシャン列島で地下核実験が行われた。その衝撃は小笠原にある「怪獣島」にまで伝わり(とんでもない範囲に広がる衝撃である。でも、それだったら日本は全滅では…?)、それによって島に眠っていたゴジラとアンギラスが復活してしまったのだ(映画の中で、アンギラスの出番はここだけ)。そして、この核実験で被害を受けたのは怪獣だけでは無かった。遥か昔、海底に沈んだ王国「シートピア」にも核実験の被害がおよび、それに怒った王国のリーダーはなんと、地上に攻撃を開始したのである!
まず王国は、地上へ3人の先鋒隊を送り、日本のロボット研究所にあった万能人型ロボットジェットジャガー(顔が微妙に笑っていて怖い)を奪わせた。そして次にリーダーは、海底王国の守護神メガロを復活させ、地上へ送ったのだ。(このメガロ、昆虫怪獣のくせに、どうやって海底から地上へ行ったんだ?)メガロは、先鋒隊の1人が操るジェットジャガーに誘導されながら、東京へと泳いでいった。
だが、ロボット研究所の連中(普通の人間のくせに、閉じ込められているコンテナごと数百メートル上空に吹っ飛ばされても傷一つ負わない)によって先鋒隊の2人は倒されて、ようやく人間に反撃のチャンスが訪れた。研究所の科学者の1人がリモコンのようなものを取り出して「ジェットジャガー、止まれ!」と叫ぶと、ジェットジャガーの動きが空中で静止した(リモコンがあるなんて、とっても御都合主義な展開だ)。そして科学者は続けて命令する。「怪獣島にいるゴジラを、大至急連れてきてくれ」するとジェットジャガーは、暴れているメガロを一匹置いて、怪獣島へと飛んで行ったのだ(こんな複雑な命令も音声入力できるのか!?)。怪獣島に到着したジェットジャガーは、ゴジラと手話で会話(!?)して、ゴジラを日本へ連れていくことに成功する。そして、泳ぐゴジラの先導をしていたジェットジャガー…のはずが、いきなりゴジラを海の真ん中に置いていって、自分一人で勝手にメガロが暴れている場所へと飛んでいってしまったのだ! なんとジェットジャガーは頭にショックを受けて自我を持つようになり、更に自我を持ったことによって、変身ポーズをとって等身大から一気に巨大化できるようになったのである(んな馬鹿な)!!
巨大化したジェットジャガーに、「てめえ! 俺を置いてどこかへ飛んでいきやがって!」と言わんばかりに襲いかかるメガロ。最初はジェットジャガーの優勢だったが、そこにハンター星から飛来したガイガンが乱入してきた! 二匹の怪獣によってボコボコにされ、あっという間にジェットジャガーは倒されてしまった。
だが、そこにようやく到着したゴジラが参戦してきたのだ! だがゴジラは「てめえ! よくも海の真ん中に俺を置き去りにしやがって!」と言わんばかりの態度で、倒れているジェットジャガーを無視して戦いを始める。戦いの途中、ガイガンがジェットジャガーを人質にとるシーンがあるのだが、なんとゴジラは、ジェットジャガーの頭の上スレスレの放射能火炎でガイガンを攻撃したのだ! 怪獣王にとって、勝手な行動をしたコイツはどうも許せなかったのであろう。
そんなこんなで戦いは終わり、ゴジラは「あー、やっと終わった。あんにゃろー、起きたばっかりの俺を無理矢理戦わせやがって! でも眠いから、さっさと島へ帰るか」とでも言ってそうな、いかにも不機嫌な態度で戦いの場を離れる。そしてジェットジャガーも等身大に戻り、ロボット研究所へと帰っていったのだ…。
こんな話なのだが、それにしてもゴジラの存在感が薄すぎる。冒頭にちょっと出てきただけで、あとは後半になるまで全く出てこないのだ。これなら素直に「科学のロボット・ジェットジャガー」とでもいったタイトルにした方が、説得力があると思うのだが…。まあとにかく本作は、まさに粗製乱造で作られたヒーロー番組でも観ているかのような気分になる、怪作と呼べる出来であった。
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