モンスターアイランド       「評価 B」
失恋したばかりで落胆中の高校生ジョシュ。ある日彼の家にMTVのスタッフが押し寄せてきた。なんと彼の妹が出したハガキが抽選に当たり、全米で大人気の歌姫カーメン・エレクトラのライブに招待されたのである。そこで友人らと共にライブの行われる孤島に向かったジョシュ。初めは乗り気でなかった彼も、楽屋でカーメンとも仲良くなったことにより少しは気が晴れるかに思われた。ところがいよいよライブが始まったという時に、何処からともなく巨大アリが飛んできてカーメンを攫っていった。近くで水爆実験が行われたせいで、この島は突然変異した生物の楽園となっていたのである! ライブは中断され、スタッフや観客達は島を脱出することになる。だがジョシュは生きているかもしれないカーメンを放っておけず、妹や友人らと共に島の奥地へと入っていった…。
本作はあの大手音楽チャンネルMTVが、カーメン・エレクトラやニック・カーターといった本物のスターを出演させて製作した冒険映画である。そのためカーメンの歌声が巨大アリの心を安らげるとか、ニック・カーターが最後においしい所を持っていったりとか、映画の中ではスター持ち上げ的な部分もかなり散見される。ところがそれ以上に本作、60年代のB級SF映画へのリスペクトと言える要素がふんだんに盛り込まれており、あの「アラクニア」に匹敵する娯楽作になっていたのである。
本作で当時のテイストを最も感じさせてくれるのが、島を跋扈する怪生物だ。巨大アリや巨大クモ、半魚人など実に多種多様な奴が登場して楽しませてくれるが、その中でも特に目を引くのが中盤の敵となる巨大カマキリである。ストップモーション撮影による人形アニメで動くのでさすがに「ゴジラの息子」のカマキラスみたいな滑らかな動きは望めないが、ジョシュ達に逃げられた際に悔しがる仕草を見せたりと、生き生きとした良い動きをしてくれる。また島で怪生物の研究をしているマッドサイエンティストの名前がストップモーションアニメの大家ハリーハウゼンなのも、当時へのリスペクトと言える重要な要素だ。
島の火山を登るカットなど、必要以上にチープさを醸し出そうとしている部分が鼻につくこともある。だが全く動かない巨大クモを除けばモンスターは丁寧に作られているので、B級SF映画が好きな人間には堪らない映画である。

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