ムーントラップ 「評価 C」
1969年のアポロの月面着陸。あれは実はNASAがでっち上げた特撮だったなんて噴飯ものの説が出てきて久しいが、「アポロ月面着陸20周年記念」と銘打って世に送り出された本作はその場面から始まる。
アポロの着陸船はやがて月面を離陸して行くのだが、実はその様子を地中から見送っていたロボットがいた。
それから21年後、一機のスペースシャトルが地球の周りを回っていると、宇宙空間を漂う巨大な浮遊物体を発見した(並の隕石よりも遥かに巨大で、なんで今まで見つからなかったのかは謎だ)。そこで宇宙服を着た乗組員がその浮遊物体に近づいて見たところ、ラグビーボールのような形をした金属の塊とミイラと化した人間の遺体を見つけたので、これらを地球に持って帰ることにした(巨大物体はそのまま放ったらかし)。
だが地球での検査の結果、人間の遺体は一万年以上昔のものだということが判明する。そんな昔の人間が何故宇宙にいたのか、と怪訝に思う乗組員達。しかも金属の塊の方は人型ロボットに変形し、研究施設の人間に襲いかかった。乗組員らの加勢により何とかロボットの破壊に成功したものの(ガチャガチャ音を立てている頭上の人間に全く気づかないロボット)、このロボットやミイラの謎を解く鍵が月にあると考えた乗組員らは、ロケットに乗り込んで月へと向かうのであった…。(このくだり、パブに乗組員らが集合する場面からいきなり月面を歩く彼らの場面に変わる。あまりにも急な場面転換は非常にスリリングであると言えよう)
とこんな感じで全編突っ走り、爆笑必至の本作だが、何より凄いのはロボット軍団の目的である。ここから先はネタバレになるが、あの浮遊物体はロボット達の宇宙船で、一万年前に月を滅ぼした彼らは今度は地球を狙っていた。しかし彼らは地球への着陸船を開発することができなかったので、どうしても地球に攻め込むことができずにいたのである。そんな中、69年にアポロの着陸船が月へやってきた。それを見つけたロボットは思った。これを奪えば地球に着陸できる、と。そこで21年後、彼らは地球人を月に招くようなことを行い、月に来た人間達から着陸船を奪い取ろうという計画を打ち立てたのだ!
…………。
はい、無茶苦茶無理ありすぎです。
あれほど巨大な宇宙船を築き上げるほどの科学力を持った連中が、なんでたかが着陸船ごときを地球人に頼らなければならんのか。そもそも月面のための着陸船だから地球への着陸に使えないことぐらいも気づかないのだろうか。しかもロボット軍団は全く意思疎通の類を行わないので、これらの疑問に加えて侵略の理由とかも全く不明のままで終わる。そのため彼らについてはこんなチンケな理由で一万年以上も月の辺りをウロウロしていた相当ヒマな連中、という印象しか残らない。
他にも宇宙空間の戦いでは銃などの音を全部出さないように気を遣っているにも関わらず、通信ができない月星人と乗組員が宇宙空間で会話する場面があってこれらの努力が全て台無しになっていたりと、微笑ましい部分が散見される。
非常に笑えたので評価はCだが、とにかく肩書きと内容のギャップが著しい映画だった。
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